憧れのボンドカー9選|『007/ゴールドフィンガー』から『007/慰めの報酬』まで

ボンドカー大全



アストンマーティン・ヴァンキッシュ
『007/ダイ・アナザー・デイ』/2002



1989年から1995年までシリーズはいったん途絶える。その後の3作品、『ゴールデンアイ』 、『トゥモロー・ネバー・ダイ』、『ワールド・イズ・ノット・イナフ』では、Q課の準備した BMWが007に支給されるようになった。アストンマーティンとの長い付き合いを思うと残念な話だ。

だが、ピアース・ブロスナンの第1作『ゴールデンアイ』では、ボンドがDB5と短い情事を楽しんでいる。ちょっとしたガジェットも付いたDB5はパフォーマンスもアップグレードされているらしく、悪女ゼニア・オナトップのフェラーリF355GTSを相手に、アルプスの山岳路で危険な抜きつ抜かれつを演じてみせた。

ボンドが再びアストンマーティンを堪能できたのは、ブロスナンの最後の映画、2002年の『007/ダイ・アナザー・デイ』だった。シリーズ第20作を記念して、過去の作品を想起させる場面を詰め込んだ本作に、アストンマーティンはぴったりだった。

デズモンド・リュウェリンの死去を受けて、Q役はジョン・クリーズが引き継いだ。V12ヴァンキッシュをボンドに披露する場面では、二人が"懐かしい"やり取りをかわしている。車に仕込まれたカムフラージュ機能に驚くボンドに対して、「仕事で冗談は言わん」とQが不機嫌に答えるのだ。

ヴァンキッシュは、ウルリッヒ・ベッツによって再興された新世代のアストンモデルだが、ブロスナンによく似合っている。このコンビが対峙するのは、同等の秘密兵器を備えた相手(おそらく『黄金銃を持つ男』以来だろう)で、この当時は同じフォードPAG(プレミア・オートモーティブ・グループ)にあったジャガーのXKRだ。この2台はド派手なカーチェイスをアイスランドで繰り広げるが、辛うじて勝利を収めたのは、ニューポート・パグネルの車だった。

アストンマーティンは、撮影に2台のヴァンキッシュを提供した。1台はギアボックスに手を加えて、前進より高速で後退できるようにしてあり、これがカーチェイスで素晴らしい効果を見せている。

この映画の製作は、さまざまな面においてフォードPAG抜きには不可能だっただろう。グスタフ・グレーブスの氷の宮殿には、招待客が乗ってきたボルボやジャガー、ランドローバーなどがあふれかえっている。また、ボンドガールであるジンクスが乗るのも、真っ赤なフォード・サンダーバードだ。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.)Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Paul Hardiman Photography:Ashley Border, Simon Clay, Paul Harmer

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