憧れのボンドカー9選|『007/ゴールドフィンガー』から『007/慰めの報酬』まで

ボンドカー大全



アストンマーティン・V8ヴァンテージ
『007/リビング・デイライツ』/1987



1987年公開の『007/リビング・デイライツ』で、ティモシー・ダルトンが4代目ボンドとしてシリーズに新風を吹き込んだ。ロジャー・ムーアも独特のボンド像を築き上げたが、最後の2作はさすがに余分だったのではないだろうか。プロデューサーのブロッコリは、後任としてピアース・ブロスナンの起用を希望していたが、ブロスナンには他作品との契約があったため、代わってダルトンに白羽の矢が立った。ダルトンは1968年にもボンド役のオファーを受けたが、その際は断っていた。

シリーズの一貫性を強調するため、本作にはボンド映画の伝統的要素がちりばめられており、007とアストンマーティンのコンビも18年ぶりに華々しく復活した。1986年型V8ヴァンテージには、単にバトンを受け継ぐ以上の存在感があった。秘密兵器も満載されている。

V8ヴァンテージが画面に初めて登場するのは、田園風景の中に立つ大邸宅(実はMI6の秘密基地)にボンドがやってくる場面だ。ここではコンバーチブルのヴォランテだが、次に登場する場面では、「冬仕様」にするためQ課でルーフを取り付けられている。

こうしてクーペになったV8ヴァンテージは、スロバキアの首都ブラチスラヴァのくすんだ街並みの中で、殺気みなぎる佇まいを見せている。同じ雰囲気は、繊細なDB5には出せなかっただろう。続く逃走シーンでは、数々の秘密兵器が大活躍する。フロントウィンドウが照準ディスプレイとなってミサイルを発射。さらには、ボディからアウトリガーが、タイヤからスパイクが飛び出して、タトラ山脈の凍結湖を苦もなく進む。

『007/ユア・アイズ・オンリー』のエスプリと同様、V8ヴァンテージも最後には自爆する。だが、それはあくまでも特撮の話だ。

ボンドは本作からドイツ車に手を出し始めている(ただし、ジョン・ガードナーが書いた小説の中では、緊縮財政下の1980年代にサーブ900ターボを愛用している)。瞬きをしたら見逃しそうなほど短いシーンだが、アウディ200クワトロのサルーンと、ステーションワゴン仕様のアバントを運転しているのだ。どちらも、直列5気筒独特の高いエンジン音がかぶせられている。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.)Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Paul Hardiman Photography:Ashley Border, Simon Clay, Paul Harmer

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