憧れのボンドカー9選|『007/ゴールドフィンガー』から『007/慰めの報酬』まで

ボンドカー大全



シトロエン・2CV
『007/ユア・アイズ・オンリー』/1981



『007/ムーンレイカー』は宇宙に飛び出す荒唐無稽な作品だったが、続く1981年の『007/ユア・アイズ・オンリー』で、ボンドは再び地上に戻る。この作品で面白のは、ロータス・エスプリが意外な車に主役の座を奪われている点だ。それがこのバナナイエローのシトロエン2CVである。

ビル・コンティの緊張感に欠けるディスコミュージックが流れるなか、2CVに乗ったボンドが、2台のプジョー504で追うゴンザレスの手下から逃れるシーンは、まさに本作の見せ場のひとつだ。この 2CVはクロスボウを携えた美女、メリナ・ハブロック(キャロル・ブーケ)の車だった。エスプリ・ターボが自爆してしまったためのやむを得ない選択だったが、その車を見たときには、さすがのボンドも一瞬たじろいでいる。210bhpのスーパーカーから29bhpに格下げになったのだから無理もない。

まずはメリナがステアリングを握って見事な腕前を見せるが、途中で車が横転してしまうと、ボンドが運転を買って出る。今なら女性蔑視と言われるのだろうが、『007/私を愛したスパイ』でも、ギアチェンジに失敗してひどい音を立てたアニヤの横で、ボンドが「ほかの音楽はないのかい?」と皮肉を言うシーンがある。話を本作に戻すと、2CVは健闘を見せ、坂を転がり落ちながらも、ついにはプジョー504を撃退し、ボンドとメリナは無事に逃げおおせる。

このカーチェイスシーンを迫力あるものにするため、2CVにはシトロエンGSの水平4気筒エンジンが搭載された。それでも、バックからの180度ターンを披露するシーンでは、早送りという禁じ手が使われている。

撮影には6台の2CVが使われたが、その後は行方知れずで、くず鉄になって無数の缶詰に姿を変えてしまったのかもしれない(2CVの専門家によると1台は現存しているようだ)。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.)Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Paul Hardiman Photography:Ashley Border, Simon Clay, Paul Harmer

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