新緑が眩しい4月27日・28日の両日、アストンマーティンオーナー限定のまったく新しいツーリングイベントが開催された。「ASTON MARTIN ON TOUR 2022 Relais & Châteaux Vol.1」と題され、10台のアストンマーティンが、春の北関東をドライブした。
東京・青山のアストンマーティン東京を出発し、栃木から群馬を巡る1泊2日のツアーが行われた。ドライブに絶好の季節に、華やかな食事とラグジュアリーな宿を楽しんでもらい、さらに同じアストンマーティンを愛するオーナー同士に交流を深めてもらいたい。そんな思いで開催されたこのツアーは、一流のホテルとレストランのみで構成された世界的な非営利会員組織「ルレ・エ・シャトー」を巡る旅となった。
Octane.jpでも、アストンマーティンで「ルレ・エ・シャトー」を巡る連載をお届けしているが、日本に存在する20軒の宿泊施設とレストランは、いずれ劣らぬ名店ばかり。地域の伝統と食材を重視し、おもてなしの精神を忘れない、食と旅のベンチマークといえる存在だ。
今回のツアーは、栃木・宇都宮の「オトワレストラン」でランチを、群馬・みなかみの「別邸 仙寿庵」でディナーと宿泊を楽しむという、ルレ・エ・シャトーの2軒を巡る行程となった。4月27日朝、東京・青山のアストンマーティン東京に10台が集結。そこから東京都心をパレードして、首都高速から東北自動車道へと向かい、約2時間で宇都宮へと到着した。
集合した朝方はあいにくの雨模様だったが、アストンマーティン東京を出発するころには雨は上がり、ツーリングに最適の天候に。ルレ・エ・シャトーのメンバーである「オトワレストラン」は、宇都宮市の国道4号線(宇都宮バイパス)近くにある。
オトワレストラン
栃木県宇都宮市西原町3554-7
028-651-0108
https://otowa-artisan.co.jp「オトワレストラン」は日本を代表するフレンチシェフである音羽和紀氏が、帰国後の1981年に開業。まるで近代的な美術館のような内外装で、メインダイニングやアトリウムのほか、個室も用意されている。
ランチはまさに絶品。地元で生産された食材を使用し、地域に根付いたサービスを提供する姿勢は、まさにルレ・エ・シャトーの精神とも一致する。ご長男が厨房を、ご次男がサービスを、ご長女がマネジメントを担当する家族的な経営方法も、親しみや暖かみを感じさせてくれる理由の1つだ。
オトワレストランは建築家の横山聡氏による設計。外観と同様に内装も趣向の凝らされたデザインだ。前菜からメイン、デザートまで、美しさと美味しさの粋を集めた料理が提供された。東京から宇都宮までの路程は高速道路が中心だったが、ここからは郊外のみずみずしい風景を楽しみながらのドライブ。日光市街では大谷川の奥にそびえる男体山と世界遺産の社寺を横目に、足尾市街では大正から昭和初期の建造物や遺構が醸し出す重厚な雰囲気を感じながら走って行く。
1時間半ほどドライブを楽しんだら「道の駅富弘美術館」でちょっとブレイク。口に筆をくわえて描いた花の詩画で知られる星野富弘氏の作品を鑑賞したり、渡良瀬川に設置された草木ダムのダム湖周辺を散策したりと、思い思いの楽しみ方が選べるスポットだ。
日光から足尾へかけては、渡良瀬川の源流沿いを進む。信号のない快適なドライブルートだ。円筒状の大小33の部屋があつまった、独創的なデザインの富弘美術館。多彩な展示室で構成されている。再びワインディングロードを1時間半ほど走り「別邸 仙寿庵」へと到着。別邸 仙寿庵は厳選された18室のみが用意された、和風モダンの宿で、すべてのゲストルームから谷川岳が一望でき、さらに全室に源泉かけ流しの露天風呂を備える。もちろん大浴場や、谷川の渓流を眺められる露天風呂も用意されている。より詳しい魅力についは、ぜひ
octane.jpのリポートをご覧いただきたい。
長旅の疲れを温泉で癒やしたら、地元の旬の食材を活かしたディナーをじっくり味わう。別邸 仙寿庵では、ゲストルームとは別に食事用の個室が用意されており、プライベートな空間でゆっくりと食事を味わうことができる。
季節ごとにさまざまな顔を見せる別邸 仙寿庵。敷地面積は3万5千坪、建屋は1000坪という空間を、アストンマーティンのオーナーたちで独占させてもらった。
別邸 仙寿庵
群馬県利根郡みなかみ町谷川614
0278−20−4141(代)
https://www.senjyuan.jp/別邸 仙寿庵では山の幸、川の幸、上州牛など、地元と群馬県を中心とした厳選された旬の食材による料理が提供される。夜は特別な趣向のパーティが開催された。まずはポメリーのプレステージシャンパーニュ「キュヴェ・ルイーズ2005」で乾杯。続いてポメリーのシャンパーニュや、夕食時に提供されたイングランド産のスパークリングワインの説明のほか、ルレ・エ・シャトーの歴史や魅力についてのトークセッションが行われた。
さらに、事前に告知されていなかった特別なアワードも発表。設定されたすべてのルートを間違えることなく走破した2台のオーナーと、もっともファッショナブルなスタイルでパーティに参加されたオーナーに、アストンマーティンからプレゼントが贈呈された。
別邸 仙寿庵の久保社長夫妻(写真中央)によるごあいさつのほか、トークセッションや表彰式が開催された。ポメリーの特別なシャンパーニュは、アストンマーティンのゲストにも大人気!美味しい食事や、ホスピタリティ溢れるホテルライフを楽しめるラグジュアリーなツアーに、参加したアストンマーティンのオーナーたちは一様に笑顔を見せていた。「オトワレストラン」と「別邸 仙寿庵」という、ルレ・エ・シャトーの特別なスポットを仲間たちで借り切っているから、気兼ねなく楽しめるのもうれしい。
ドライブを主体とした競技性の高いラリーイベントも、車好きにとっては魅力的なイベントだが、食事や宿泊などライフスタイルを含めた新しいツアーは、また別の魅力を導き出してくれる。これからは一日中楽しめる、こういったニュースタイルのドライブツアーが主流になっていくかもしれない。
文:渡瀬基樹 写真:尾形和美、佐藤亮太
Words: Motoki WATASE Photography: Kazumi OGATA, Ryota SATO