約70年前のサンビームは筆者にとっての「実用車」|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は、入院がきっかけで愛車との付き合い方を考え直すことになったデイヴィッドが、新たな「実用車」1924年 サンビーム 14/40について語る。



残念なことに、しばらく入院したことにより、頑固なエンジンを手で回してかけたり荷台を持ち上げたりするような日々は過去のものになったと私は悟った。つまり、愛車のデ・ディオンとピレインには新たな住処を探さなければならない。というわけで、より“実用的な”1924年サンビーム14/40クーペを購入できる機会を逃すわけにはいかなかった。特筆すべきなのは、価格が適切だったことと主要な作業がすべて済んでいたことだ。キャビンやランブルシートのクラブ風のボタンキルティングの革張りなどだ。実際にランブルシートに乗り込むのに必要なレベルの、アクロバティックなスキルを持っているような知人はいないのだけれども。

このサンビームは、1926年ドラージュ・ディスの完璧なライバルであり、2121ccという同じエンジン容量と強力な電動スターターを装備していた。四輪ブレーキも同様だが、サンビームは他の多くの点で異なっている。まず、天候用の装備が優れている。ドラージュは風雨に対する防御がV型スクリーンのみであるのに対し、サンビームは巻き上げ式のドア窓と開閉式のリアウィンドウを備えている。ギアレバーとハンドブレーキは右側にあるのだが、私は何年も前にそれで運転を覚えた。それに、ドラージュのセンターチェンジのクロスレシオ4段と違い、3段しかない。そしてこの車は、私が長年所有していた1927年クライノーと同じく、1930年以前にイギリスの自動車産業の中心地であった、ウルヴァーハンプトンで製造されたものだった。



古い2台の車が新たな住処に移るまでの間に、私は自宅から離れた場所でサンビームを直した。最初の作業は、インテリア後部にあった時代錯誤のラジオと大き過ぎるスピーカーを撤去・処分することだった。幸いなことに、“いつか役に立つかもしれない”と思って保管していたマホガニーの板で、スピーカーの隙間を埋めることができた。そして、緑色のフエルトを敷きつめて、ラジオがあった隙間は書類や地図を入れるポケットにした。



その他の必要な作業として、緊急時にはフロントガラスの上部が上に開くものの、フロントワイパーの取り付けもおこなった。リア・リフレクターの追加、リブ付きのラバーシートでランニングボードの整頓もした。また、ウィンドウ下の盛り上がったベルトラインのパネルに、コーチライニングを施してみた。モデルメーカーのマスキングテープを使えば、作業を簡素化できるのだ。最後に、地元のアンティークショップで手に入れたニッケルメッキのAA(英国自動車協会)のバッジで、ロータックス製ヘッドライトを支えるバッジ・バーを際立たせえて仕上げもバッチリだ。

14/40サンビームの初期のあるオーナーは、1924年に『Autocar』誌に寄稿し、そのサスペンションと「非常に軽くて反応の良い」ステアリングを賞賛した。また、「私の意見としては、14馬力のサンビームはロールス・ロイスの軽量版だ」とも豪語している。よし、この誉め言葉を後ろ盾にして、道路へ繰り出してみよう。


文:David Burgess-Wise

David Burgess-Wise

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