「モーガンたるもの、幌はどんな天候であろうと常に開けておくべきだ」とは言うものの・・・|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は、マシュー・ハウエルによる1982年 モーガン 4/4のお話し。常にオープンにしているという彼のモーガンだが、さすがに今回は事情が違ったようだ。



私の父が1984年に購入したこのモーガンは、今では私の車になっている。しかし、幌をクローズにしたことがあるのは、なんと今回が3度目だ。

説明しよう。初めて閉めたのは、私が原因だった。父が購入してからほんの3日目のことだった。モーガンたるもの、幌はどんな天候であろうと常に開けておくべきだ、と両親は揃って主張していた。しかし、私は幌をかぶるとどう見えるか興味津々で、どうしても見てみたかった。それで父は仕方なく、一緒に幌を上げてくれた。私はそれを見て、素晴らしいと思った。すこぶる均整のとれた外観だ、と。しかし母は、すぐにオープンにしろと言ってきた。

2度目にクローズにしたのは、数年前にこの車を相続したときだった。1度目にオープンにしろと言われたことへの反発もあったが、どのような状態になっているかを確認するためでもあった。そして3回目の今回は、絶対的な必要性にかられたものだった。

友人のマーク・ディクソンから、携帯にメッセージが届いた。「今回はモーガンで来られなくても仕方ないよ。天気予報は悪そうだからね」と。私の家からマークの家までは、車で実に3時間半もかかる。それでも、私はこの小旅行を楽しみにしていたし、彼の新しいガレージとフォード・モデルTを見てみたかった。

それに、私がクラッチケーブルに施した修復の具合を試す、いい機会でもあった。最近ケーブルが切れてしまったので交換したのだが、そのときケーブル交換が初めてではないことに気づいた。それで私は不思議に思ったが、よく見てみると答えは明白だった。ケーブルは金属製のキャリアに入っており、スチール製のチューブを通って出てくる。しかし、それがまっすぐではなく、片側が擦れるような角度でチューブから出てくるのだ。そのため、クラッチペダルを最初に踏んだ瞬間から、スチール製のストランドが摩耗してしまっていたのだ。その解決策としては、ケーブルが擦れないようにキャリアを切り取り、斜めに溶接することだった。また、キャリア側の出口には念のため、十分なアールをつけておいた。

マークお薦めのルートで、ノーザンプトンシャーからヘレフォードシャーまでのAロード沿いに走った。モーガンの走りはすこぶる良好で、クラッチの動きもスムーズになった。過去1年半の間に、モーガンの個性が少しでも失われることがないように気をつけながら施したさまざまな改良により、とても運転しやすい車になった。

しかしその後に、あろうことか、災害映画級の大雨が降ってきた。母の理論では「動き続ければ雨は上を通り過ぎていく」はずだったが、その時の私には幌を閉じる以外の選択肢はなかった。私が泣き言を言っていると思われるかもしれないが、そのおかげで私は濡れずに済んだ。それに視界も良好で、タイヤが水たまりの影響を受けることもなかった。



マークの家に到着すると、雨とは無縁のガレージと、彼の素晴らしいフォード・モデルTが見えてきた。モーガンは完璧なパフォーマンスを見せてくれたことも嬉しかったが、マークが「お茶でもいかが?」と尋ねてくれたことの方が嬉しかった。

雨と無縁のマークのガレージに心が安らぐ。


文:Matthew Howell

Matthew Howell

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