まるで映画か絵画の世界!Les plaisirs de Dampierre - Edition 2023で18世紀へ

Tomonari SAKURAI

今年も18世紀にタイムスリップしてきた。その舞台はパリから西南、ランブイエ城に近いダンピエール城。ダンピエール城は革命の時にこの街の住人の嘆願により城主が逮捕を免れたおかげで貴重な資料なども維持された数少ない城だ。

繁栄と荒廃を見てきたダンピエール城。そこで再び18世紀が蘇る日がやって来た。

この城にルイ15世の時代が再現された。これは毎年行われるイベントで、登場する人物を演じるのはファニーさん(Fanny Wilk)率いる歴史と芸術を探究再現するLa Compagnie de l'Histoire et des Artsのメンバーだ。彼女たちは正しく歴史を研究しそれを自ら再現する。当時の服装を限りなく正確に再現する。もちろん下着からだ。そして当時の振る舞いや、食事や遊具もできる限りそこで再現する。

La Compagnie de l'Histoire et des Artsの主査ファニーさん。

一角に設けられた食堂がこの18世紀への入り口になっていたかのよう。世の中に失望している青年。やがて来る革命を感じる。奇しくも数日後はフランス革命記念日パリ祭だった。

ここに登場するのはルイ15世。それを取り巻く王妃マリー・レクザンスカ、公妾のポンパドール婦人。衛兵。そして、ものを売る商人や一般市民まで。このお城の一角で18世紀のその風景を目の当たりにすることができる。鼓笛隊を先頭に王のご一行が現れる。池の畔にさしかかると一行は足を止め、なにやらセレモニーの準備が始まった。一人の将校が呼ばれると功績を認められて王から爵位を授かる。この兵士は女性に人気もあるようで名前を呼ばれ前に出るとご婦人達が歓声を上げる。

鼓笛隊を先頭にルイ15世一行が登場。

ルイ15世とポンパドール夫人。

ルイ15世からの直々に功績を称えて昇進を受ける。その儀式が執り行われている。

その儀式を見守る。憧れの君にため息を漏らすご婦人方。

儀式が終わり一行がさらに道を進むと、その道に店を出す商人やその客達は王の一行に頭を垂れる。途中、一人の女性がその地位に合わない宝飾品を持っていることから泥棒の疑いがかけられ警察に捕まる。取り調べをパリで行うと連行されていく。

マルシェで身分に合わない宝飾品を持っていたことで嫌疑がかけられる。必死で嘆願する女性。

この女性の取り調べの日時と場所を告げ市民を威圧する衛兵の隊長。

王の一行が歩きながら何を話しているかと聞き耳を立てると、植民地について話し合っていた。ちょうどその時さしかかったお店ではパイナップルが売られており、それに足を止める。パイナップルはこの時代では珍しく、ニューカレドニアから来たという話を聞き、黒人女性は彼の地から来たものと紹介する。…などといった具合に、ただその場に、衣装を着た人たちがいるわけではなく、当時の暮らしや会話までをを再現しているのだ。

当時では珍しいパイナップルの説明を受ける一行。

その時代のお菓子が振る舞われたり、平民のキャンプでは鶏肉を焚き火で焼いたり、スープを作ったり。また、納屋を当時の食堂に見立てた部屋では、来場者に当時のシロップを振る舞ったりと、昨年とはまた違った趣向で何度来ても飽きさせない。気になるのは去年から続くダンピエール城事態の修復工事が未だ終わってないことだ。

この当時人気だったという焼き菓子。まだアイスクリームは冷凍庫がないのでコーンにしてクリームなどを入れたものがパリの市民の間で流行っていたという。

一般市民のお嬢様方。

絵画のような世界がそこに広がる。

タイムスリップしたというよりは映画の中にいるといった感じだ。ポンパドール夫人を演じたアンナ・カルロッタ(Anna Carlotta)はプロのコスチューム・モデルだ。コロナ以前は、多くの日本企業や個人のイベントでマリーアントワネットなどを演じていた。ご興味にある方は彼女のInstagramを覗いてみてほしい。

ポンパドール夫人、マリーアントワネットなどを演ずるプロのコスチュームモデル、アンナ・カルロッタ。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

櫻井朋成

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