道具好き必見!「道具のルーブル美術館」と称えられる、フランスの「道具と職人博物館」

Tomonari SAKURAI

パリから南東に2時間ほど行ったところにあるトロワという街。ここは織物産業で大きくなった街で中世からの町並みが今も残る。美術館なども多く、芸術の街でもある。しかし、フランスでは最初の本格的なアウトレットパークができたことでも有名で、実際のところアウトレットの街という認識の方が高いかもしれない。僕が興味をひかれたのはこの中世の町並みはもちろんだが、ここにある「道具と職人博物館」というところだ。車やバイクなどの機械モノに興味があれば、ついついそれをいじるための道具に興味を持つのは当然のこと。この道具の博物館とはどんなところか興味津々だったというわけだ。

16世紀に建てられた建物は歴史機建造物として指定されている。

木組みの中世の町並みと同じように、昔のままのたたずまいで現れたその博物館。元々貴族の館として1524年に建てられた。大きなお屋敷は後に病院となり、その後は孤児院となった。孤児院の時に、その孤児達に手に職を付ける、今でいう職業訓練学校としても機能していた。孤児院や職業訓練校が廃止されたあとは、そこで学んだ職人達が集まって住むようになり、この屋敷は職人の住むアパートとなった。必然的にここには道具のコレクションが集まり、1969年にトロイ市が管理することとなり博物館になったというわけだ。

中に入ると圧倒的な工具の数の展示に目を奪われる。正直、何に使われるものなのかもわからない工具も多いが、ケース毎に何のための道具かに分けて展示されている。木を伐採するための物から始まり、イスや樽を作るための道具、彫刻や手袋や靴などの革製品などより技術を要するものへと進んでいく。

展示は斧やナイフではじまる。人類の最初は「切る」から始まった。

車輪を作るときに必要な工具を想像できる?こんな風に作っていたんですね。

樽を作るのに必要な道具はこれ。

鍛冶屋の仕事道具。

水道管などの金属パイプの加工、溶接なども出てくると、いよいよ車へ通じるように思えてくる。現代と違ってゆっくりと時が流れていた時代。工具を見ているだけなのに人類の技術の進歩を感じる事ができる。

鋳物の道具。

イスのクッション。馬車のシートから車のシートへと変化していく。

ブーツの道具たち。

“道具のルーブル美術館”と称えられるこの道具と職人博物館。圧倒される道具の数と、展示の見事さで、見るものを飽きさせない。コンピューターで制御され、魔法のようにタブレットを指で操作すれば何でもできてしまいそうな現代。そんな時代だからこそ職人達の技や、彼らが使いこなしてきた道具には、何か魅了される力がこもっているように見えるのだ。

道具と職人博物館
Maison de l'Outil et de la Pensée Ouvrière
https://mopo3.com


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成

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