ジャガーXK140のフロントから聞こえる耳障りな異音。その原因は?

Robert Coucher

『Octane UK』編集スタッフによる愛車日記。今回は1955年ジャガーXK140に乗るロバート・コウチャ―のレポートをお届け。気になる異音の原因は果たして何だったのだろうか?



少し前、私のジャガーから耳障りな音が出るようになった。フロントの右側から聞こえてくる気がしたので、サスペンションの何かが緩んでいるのかと思い、車から降りて念入りに調べてみた。しかし、ジャガーのサスペンションパーツはどれも重厚で、そこからの音はほとんど「ゴツン」「ドスン」といった重い音なのだが、今回のガタつきは「チーン」という音なのだ。鳴ったり止んだりしていたが、石畳の道を走っている時が一番ひどかった。イライラさせられると同時に、本来しっかり締まっているはずの物が緩んでいるかもしれないと思うと、心配になってしまう。

そこで私はXKにまた乗り込み、地元の半マイル先の自動車修理業者『グレイム・ハント・リミテッド』に向かった。バタシー地区の住宅街にひっそりと佇むグレイムの店は、実はロンドン中心部で最大のクラシックカー・ディーラーだ。ショールームには約50台の見事なクラシックカーが展示されているだけでなく、チーフメカニックのゲイリー・パクスティーの作業場がある。

車を復活させるのに、ゲイリー・パクスティーの右に出る者はいない。

彼にも乗ってもらってドライブしたのだが、異音がした時にブレーキペダルを軽く踏んでみるようにアドバイスされた。するとどうだろう、断続的に鳴っていた騒音が止まったのだ。おそらく、ブレーキパッドが摩耗してキャリパーの中でガタついていたのだろう。その場で『ガイ・ブロード』に電話し、35ポンドの新品のパッドセットを注文した。

ゲイリーの隠れ家に戻り、右フロントのホイールを外して調べてもらったところ、騒音の元が判明した。ブレーキキャリパー自体が緩んでいたのだった。問題となっているホイールハブのボルトは、セーフティワイヤーで固定されているので落ちる心配はない。だが、ゲイリーは両方のボルトを外し、ネジ山を整え、再び取付けし、”ロックタイト”を一滴垂らして固定した。古いパッドはほとんど磨耗していなかったが、それでも彼は新しいパッドに取り替えた。

カッパーグリースを塗ったブレーキパッドを、緩みがなくなったキャリパーに再度装着。

作業場にいる間に私はゲイリーと話をして、バルブタイミングもチェックしてもらうことにした。というのも、近頃このままではヤバいと思っていたからだ。タイミングは全開でBTDC26度だったので、彼は28度まで上げた。私は無鉛ハイオクガソリンを使っていて、値段がとても高いので、できる限り上げたかった。

帰りの道のりでは、煩わしい音は消え、ブレーキはしっかり効き、エンジンは再び快調になった。クラシックカーの優秀なエンジニアがすぐ近くにいるというのは、ロンドン中心部では珍しく、とても幸運なことだと思う。


文:Robert Coucher

オクタン日本版編集部

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