市民は大混乱!なんとパリのガソリンが空っぽに !? フランスのガソリン事情をリアルレポート

Tomonari SAKURAI

フランスのガソリンの高騰は一時期日本円に換算するとレギュラー1リッターが300円を超えた。その高騰もようやく落ち着き始めたら今度はガソリン不足。パリ周辺のガソリンスタンドは開店休業のスタンドも増えてきた。ガソリンの在庫のあるスタンドには長蛇の列ができた。そしてそれに追い打ちをかけるようにガソリンを運ぶトレーラーの運転手達がストライキを敢行。10月に入るとパリのガソリンは空っぽになってしまったのだ。ガソリンの在庫があるスタンドも、警察や消防、救急車などが優先的に使うスタンドとして指定されて一般市民は給油できなかったりと大混乱のまっただ中。ジェリカンなどでの買いだめも禁止令が出ている。いよいようちの車のガソリンも危うくなってきた。少し落ち着いてからでいいかとも思ったがそうも言っていられない。覚悟を決めて一日かかってもガソリンを満タンにしようと決めた。

この状況下、ネットやスマホアプリでリアルタイムにフランス中のガソリンスタンドの状況がわかるようになった。ガソリンを確保できずに閉鎖しているスタンドや、営業中のガソリンスタンドの在庫状況と合わせて価格まで見ることができる。その情報を見ると、開いているガソリンスタンドを近所で探すのも難しいほどに、ことごとく閉まっていることがわかる。営業しているスタンドをクリックして状況を見ると、軽油しかなかったり、ハイオクしかなかったり。この状況を利用して法外な値段を付けるスタンドも見かけることとなった。リアルタイムというコトだがあくまでもネット情報で真偽のほどはわからないが、1リッター600円なんていう価格もあった。

これがリアルタイムで見ることのできるサイト。スマホのアプリもある。パリ周辺のものだがオレンジ色のマークは休業、閉鎖マーク。黄色は開いているところ。開いているところが圧倒的に少ないのがわかるだろう。

スタンドが開いていると思っていても油断してはいけない。そこをクリックするとそのガソリンスタンドの状況がわかる。ここではハイオクも、レギュラーもなく、あるのは軽油だけだと分かる。表示されている品目が在庫切れなのだ。

さらにクリックすると詳細が分かる。ここで表示されているのはE10(エタノールが10%含まれたガソリン)がリッター5ユーロ(約712円)と、軽油がリッター2.059ユーロ(約293円)。それ以外は在庫無しと言うモノ。

その情報を頼りに見つけた営業中のスタンドを目指すことにした。フランスではTOTALやBPなどオイルメーカーのスタンドの他、大手スーパーマーケットもスタンドを持っている。買い物のついでに入れられるし、スーパーということもありオイルメーカーの価格よりも安い。今回見つけたのはうちから少し離れているが、たまに出かけるショッピングモールのスタンド。そこにたどり着くまでになくなってしまわないか?行ったら軽油だけになっていたりしないかなど不安だらけ。スーパーの駐車場のスタンドへの道案内に従って進むとその最後尾に並んだ。

スーパーの駐車場を抜けるとガソリンスタンドがあるのだが、駐車場から列ができている。前に進んでいるのかなと思うと耐えきれずにUターンする車が出ているためで給油が終わっているわけではない。

しばらく動きはなく、車から出てたばこを吹かしている人もいる。これは長期戦だ。覚悟の上だ。ガソリンスタンドにたどり着くまでに小さな交差点があるがさすがにそこには警備員が立っていて交通整理をしている。

価格が示された電光掲示板。98というのがハイオクで在庫切れのために9.999の表示。レギュラーはリッター1.78ユーロ(約254円)。最近は1.60ユーロを切っていたので価格は上げられている。

フランスは譲り合いなどなく、隙あらば入ってくる。なので車間は決して開けてはいけない。警備員が向こう側の道路を止めいよいよ自分がいる車線の車を入れはじめた。そこにたどり着くまですでに30分が経過。ようやくスタンド内のポンプの列に並ぶことができた。僕が並ばされたのは給油後レジで支払うところだ。こういったスーパーのスタンドは2つの支払い方法に分かれている。ひとつは24時間オープンのポンプ毎にカードで支払いを済ませられる、日本のセルフのようなところ。もうひとつはスーパーの開店時間のみ開けている、給油後に料金所のようなレジで支払いをするところだ。

ひとつしかないこの料金所で、数台のポンプの支払いを受け持つ。普段なら大した待ち時間などはないが今は別だ。前の車の給油が終わっても、支払いが完了しないとそのポンプでは続けて給油が始まらない仕組み。ようやく自分の番が来ても前の車の支払いが済まないと給油ができないということで、非常に効率が悪いのだ。

給油が終わると料金所というかレジで支払う。これがまた並ぶ。支払いが終わらないとそのポンプは使用できない。面倒な仕組みだ。

ようやく給油が終わったのは並び始めて45分後だった。ネットであらかじめ営業中のガソリンスタンドを探せたためあちこち探さなくて済んだことを考えれば、1時間も待たずに給油できたのは良い方だろう。

ひとまず満タンになったのでしばらくは安心だ。次に給油が必要になるころにはストが終わってもう少し状況が改善されていることを祈る。ガソリンが高いだの安いだのと言えるのは幸せで、ガソリンそのものがないのはこれほどまでに生活に支障が出るのだと実感させられた事態となった。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成

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