いくら規制されても、車好きは止められない!パリ市の条例にも負けないエンスー事情

Tomonari SAKURAI

バカンスも終わり、気になっていた車好きの集まるパリのアンバリッド裏のヴォーバン広場に出かけてみた。前回はバカンス真っ盛りでちょっと寂しかったので今回は盛り上がって欲しい…という願いをこめて出かけた。以前もお話ししたがパリ市内の道路はほぼ制限速度が30km/hになり、この9月からはオートバイの駐車も有料となった。締め出しがどんどん厳しくなる。なのでメトロで移動。

アンバリッドはナポレオンの墓があるので観光客も多い。コロナの制限はほぼないため、観光客も戻ってきており、多くの観光バスが停まっている。その陰から、いたいた、それらしい車が見え隠れしている。といっても初めて紹介した時に比べるとおとなしい。もうすっかり車好きの集まるカフェ(正確にはレストランだけど)となったLe Vauban(ル ヴォーバン)に足を向ける。まず迎えてくれたのはここで何度も見かけるBMW R75/5。そして、フランスでは普段見ることのないスズキの刀だ。刀はヨーロッパには輸出されておらず、個人輸入などで入ってきたものくらいしかない。

もう、ここの目印になっているBMW R75/5。

ナンバーにインスタのアカウントを貼ってある。ここには車好きが集まってくることを意識しているのだ。

ルノー・キャトルが並んでいる向かいにはシトロエンSM、そしてDS。そうこうしているうちにVWタイプ2がやって来たり、フィアット126が2台連ねてやって来たりと、やはりここには車好きが集まってくるのだ。

ワーゲンタイプ2がやって来た。

2台連ねてやって来たフィアット126。

しかし、以前の勢いはない。実はすでにパリ市の“魔の手”がここに伸びてきていたのだ。「主催者のいない、登録されていないミーティング禁止する」というものだ。新しい条例は、正当な理由なくパリを走ることはできないという内容で、ただ“車を走らせる”という理由でパリへ車両で進入することは違法行為となったのだった。だからこそ、「このカフェに行く」ということを理由にして集まるのだ。

そんな中、このカフェとは1本離れた道はなにやら賑やかだ。元気よく空ぶかしをしている若者がいた。目に飛び込んでくるのは黄色いMINI。MINI 1300をベースにバケットシートにロールバーを備えている。乗っているのは免許取り立ての若者。これが初めての愛車だという。

レーシングなスタイルなMINI1300を発見。初めての愛車だという、うれしそうな若きオーナー。

リアに張られたAマークは日本の若葉マーク。免許取り立ての証だ。

同世代の4人組。ユーノスロードスター、2台のBMW 320は80年代のヤングタイマーだ。もう少したつと化石燃料の車は走れなくなるパリ。それでもこうやって旧車を楽しむ人が増えてくれるのは何ともうれしい。

勢い良く飛び出すMINIとヤングタイマー達。

ミニの後を追うMX5。

彼らが走り去ったあとには新生アルピーヌA110Sや初代マスタングが代わりに陣取っている。いくら規制しても車好きを止められない。なんとなく占領下のパリのレジスタンスのようだ。楽しく自由を取り戻すのだ!

立ち去る車があれば新たにやってくる車あり。アルピーヌA110Sと初期型マスタング。

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事