色にこだわっていると苦労するだけ? 希少なポルシェ924カレラGTの相場を検証

Octane UK

ご承知のとおり、希少車の相場はなかなか掴みづらいものだ。たとえばポルシェ924カレラGT。その2010年代以降の価格推移について、『Octane』UK版のアナリストが検証した。



ボンネットのエアスクープ、リアスポイラー、ポリウレタン製の前後オーバーフェンダーで、924カレラGTはひと目で見分けられる。最高出力207bhpで、2リッターでは最もパワフルな市販車として、1980年に1万9210ポンドで発売。GP4のホモロゲーション取得のため、限定406台が製造された。ボディカラーはレッド、シルバー、ブラックのみで、イギリス市場向けの右ハンドルは75台。

オークションで最高値を付けたカレラGTは、たいていが「控えめに使用され、メンテナンスは良好」に分類される。走行距離がわずかなものは出てこないためだ。2010年代の落札額は上昇傾向を示している。2013年には、ベルギーで開催されたボナムスのオークションで、走行8万9000kmで3オーナーの1台が3万6800ユーロ(3万700ポンド)だった。その2年後、パリのアールキュリアルで大きく上昇し、新車でフランスに渡った走行7万kmのGTが、8万 9400ユーロ(7万4600ポンド)で落札。これは2017年にRMサザビーズが更新し、走行7万3000km、レストアしたばかりでスイスのコレクションから出品された1台(写真)が、9万1840ユーロ(7万6600ポンド)の値を付けた。最近の最高値は、2021年10月にコレクティング・カーズのオークションで、走行6万1400マイルの1台に付いた11万500ドル(8万4800ポンド)だ。

同等モデルのオークションでの最高値を線で結んだ。

アヴァンギャルド・クラシックスのジョナサン・オーコットは、924カレラGT購入の現実を、次のように説明する。「最高のものは、長い間4万5000~5万ポンドでしたが、今はそれでは足りません。常識的な走行距離で、状態のよい1台には7万~7万5000ポンド支払うことになります。希少性を考えれば悪い買い物ではありません。その金額でルノー5ターボ2を探すのは大変です。製造数はずっと多いにもかかわらず」

「整備上の問題はないでしょう。ほとんどのパーツには困りません。本質的には924ターボですから。メンテナンスに関しては944ターボと何ら変わるところはなく、本来、非常に使いやすいモデルです。とはいえ、日常の足に使っている人は、もういないと思いますが。これまでに値崩れしたことがないため、大切にされているのも、よい点です」

「1年待っても市場に1台も出てこないことがありますから、色にこだわっていると苦労するだけです。手に入るものを受け入れる必要があるでしょう」

編集翻訳:伊東和彦 (Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.)
原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA
Words: Rod Laws


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オクタン日本版編集部

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