名付けるならば「750GTO」!? ポルシェ944S2がベースのレプリカ車両

Historics Auctioneers

フェラーリ250GTOは1962年から1964年にかけて、FIAのグループ3「グランド・ツーリング・カー」カテゴリーのためのホモロゲーション・モデルとして生産された。車名にあるGTOはイタリア語でグランド・ツーリング・ホモロゲーションを意味する「Gran Turismo Omologato」の頭文字を取ったもの。数字の「250」は一気筒あたりの排気量(cc)を示している。

合計36台の250GTOが生産され、1962年から63年にかけてはシリーズIと呼ばれるものが33台、1964年にシリーズIIと呼ばれるものが3台生産された。また、4台のシリーズIは後にシリーズIIボディに変更された、という記録が残っている。なお、250GTOのボディとシャシーに400スーパーアメリカの4リッターV12エンジンを搭載した、330LMも3台生産されている。

華々しいレース結果、希少価値、そして毎年、オークションでの最高落札金額記録を更新していくとあって250GTOは超絶富裕層には絶大な人気を誇っている。250GTOを所有すると、クラシックカー・レース/ラリー好きな超絶富裕層のサークルに入れて遊べるだけなく、何年か後には購入金額を上回る金額で手放せることが予見しやすい、とあって恰好の“オルタナティブ投資”対象にも昇華している。

ただ現在、その価値は5000万~8000万ドル(114億円!)と言われており、並大抵の富裕層では手が出せない… とは言っても、いつの時代も250GTOはクラシックカーのなかでは郡を抜いて高値で取引されてきたのも事実。そんななか、手軽に250GTO気分を味わいたい人たちが、レプリカに手を出してきた。ポンティアック・フィエロやオペル・カリブラ、はたまた日産フェアレディZなどがベース車両に用いられていた。

9月24日に開催される「ヒストリックス・オークショニアズ」に出品されているものは、1989年式ポルシェ944S2がベースになっている、珍しいレプリカだ。2009年にイギリスで作られ、当時はイギリスのポルシェ・エンスージャストの間では“勿体ない”と話題になった車両である。



ポルシェを愛してやまない“ピュリスト”たちからすれば、せっかく現存している944の姿カタチが変わってしまうことを残念がった。そして、フェラーリを愛してやまない“ピュリスト”たちからすればレプリカは所詮、“偽物”として見下されがち。そういう意味では不運な車と呼べよう。

それでもポルシェ944S2がベースであれば、それなりに走りは楽しそうだ。3リッター4気筒エンジンの最高出力は211psで、車両重量は944S2の1350kgから1130kgに削減されている、という。なお、250GTOと同じように計算するのであれば、1気筒あたり750ccなので…、個人的には「750GTO」と命名したい。

ブレーキや燃料噴射装置、サスペンションなどは944S2のままなので“80年代”のスポーツカーとしての性能は十分に期待できよう。そのほか、Bluetooth対応のCDラジオ、USBポート、電動パワーウィンドウも備えている。ただ、エアコンについては、どうやら省かれているようだ。



ピュリストの目線から250GTOを意識すると、レプリカはフロントのオーバーハングや、リアのCピラー周りに違和感を覚えることもあろう。あくまでもポルシェ944S2をフェラーリ250GTOのルックスで「遊べる玩具」として捉えてみたら、腹も立たないだろう。





製作されてからの走行距離は2万969マイルで、落札予想価格は2万~3万ポンドとなっている。製作時にはエンジンや足回りやブッシュなどは、リフレッシュされている。また、レプリカに仕立てる外装パーツだって決して安いものではない。内装の無機質な雰囲気も、完璧とまでは言わないが、よく再現されている。今の円安状態においても500万円未満で入手できるなら、“まぁまぁ”お買い得ではないだろうか?




文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)
Images: Historics Auctioneers

文:古賀貴司(自動車王国)

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事