フランスのクラシックカー雑誌『Gazoline』が主催するミーティングに初潜入!

Tomonari SAKURAI

フランスにも多くのカー雑誌がある。クラシックカーを中心に扱う雑誌の一つに『Gazoline』(ガソリン)がある。フランスに移住する前、まだフランスと行き来していた20年以上前に、この『Gazoline』誌が創刊した。充実した内容だった記憶があり、フランスに来るたびに購入していたのを思い出す。この雑誌の編集部がなんと僕の家から15分ほどのところにある。どうでもいいことだが、お米や醤油など日本食の食材を買いに行くアジアンマーケットのすぐそばだ。

この『Gazoline』誌が主催するミーティングがあることを知った。『Gazoline』の編集部が入っている建物前の駐車場が会場だ。後で知ったのだが、これは毎月第3日曜日に行われている。今までなぜ知らなかったのか!?アジアンマーケットに行く際に通る馴染みの道を走り、直進するところを少し手前で右折してしばらく行くと会場に到着した。さすがにバカンス中なので集まる車両は少ない。編集部前ということだが、そこにはガレージが開いていて、その前に車が集まり始めている。雑誌のミーティングというよりは、ショップのミーティングのようだ。早速担当者に話を伺った。編集長はバカンス中ということで、編集部の方が対応してくれた。ちなみに彼の愛車は280 SLだ。

アトリエの前に鎮座するDB HBR5。かわいらしいスタイルだが当時はスポーツカーとして活躍していた。

『Gazoline』誌同様に忠実にレストアした280 SLを集まった人に説明するスタッフ。

「このガレージは、我々にとって撮影スタジオでもある」そう話し始めた。テーブルに並んだ見慣れた『Gazoline』誌を手に取り、ページをめくると、そこではレストアの連載が掲載されていた。パーツの交換などを、事細かに豊富な写真を使って説明している。フランスの雑誌は大きな写真を中心に、あとはテキストのみというものが多い。それに対してこちらは多くの写真で細かく作業の様子を紹介している。なるほど、自社ガレージで作業しながらそれを記事にしているのだ。

現在レストア連載中の車両はランチア フルヴィア クーペ ラリー 1.3S(1971年)だ。あくまでもレストアで、オリジナルを保ちながら、劣化したホース類などを最小限の新しいパーツに交換するというものだ。

レストアの最中のランチア フルヴィア クーペ ラリー 1.3S。ここはガレージ兼撮影スタジオだという。

ケーブル類などもすべて交換されているようだ。

レストア連載中のエンジン部分を見せてくれる。

ほぼオリジナルの状態で再生する。

フランス料理のメニューは写真がない。そんな感じで雑誌も言葉は多いが写真が少ないのが一般的。このレストアの連載では事細かく作業の手順を写真付きで説明している。ガレージのランチアである。

ミニのエンジンを使ってエンジンの仕組みを紹介したり、並行してレストアを行っているのは1951年のルノー ジュヴァクワトル。これは1937年からあるモデルで、レストアの際にブレーキ周りは現代の道路に合わせて強化するとのことだが、基本はやはりオリジナルを維持するという。

エンジンのパーツの構成やメンテナンスを紹介するページもこのガレージで撮影している。ミニのエンジンを使って今回はオイルポンプの説明。

レストアが始まったルノー ジュヴァクワトル。

こういった、自らの手でレストアや整備を行い、それをじっくりと紹介しているのが『Gazoline』誌の魅力であり、人気の秘密なのだ。

そんな話を伺っていると、バカンス真っ最中で集まってくる車は少ないとはいえ、ぽつぽつと集まってきた。そこに現れた一台はトラクシオン アヴァンのカブリオレ。トラクシオンは見慣れているが、このカブリオレが走っている姿はなかなか見ない。こんなにも優美なラインだったのかと、改めてトラクシオンに魅了された。

シトロエン トラクシオン アヴァン 11BL カブリオレがやって来た。

何ともエレガントな後ろ姿。

今回このミーティングに参加したのは初めてだというオーナー。エンジンルームも披露。

そのエンジン。ガソリンのパイプにフィルターと、ハンドポンプが追加されている。

ヴェルサイユのミーティングやパリ横断などでも時々見かけるマトラ530も登場だ。

『Gazoline』誌のおかげかピカピカのFiat Sport 850。

手前にはピカピカのDS。まだレストアが完了していないDSはちょっと離れたところに...

アイボリーカラーのルノー 8 ゴルディーニ。

「来月のミーティングには編集長が来るはずだから、紹介するよ」と別れ際に言われた。マニアックな雑誌だけに、集まる車もマニアックなミーティング。次回のミーティングが楽しみだ。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

櫻井朋成

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