ベントレーの今までの100年とこれからの100年を体感する代官山の日曜日の朝

Photography:Masaya ABE

2021年12月12日はとても良く晴れた気持ちの良い日曜日であった。代官山T-SITEでは毎月第2日曜日に自動車愛好家によるギャザリングイベント「モーニングクルーズ」が開催されることが恒例となっているが、この日はベントレーモーターズの協力により「モーニングクルーズスペシャル」として開催された。

ベントレーオーナー以外にも多くのギャラリーが代官山T-SITE駐車場に集った。モータージャーナリストの川端由美さんがいち早く試乗をした新型ベンテイガハイブリッドについて解説をしていた。

イギリスの名車ベントレーは2019年に創立100周年を迎えている。オクタン読者であればご存知の方も多いだろうが、ベントレーという企業はエンジン技術者のW.O.ことウォルター・オーウェン・ベントレーが1919年にロンドンのクリックルウッドで立ち上げたブランドである。創業間もない1923年に始まったル・マン24時間レースにおいて、1924年から1930年の間に5回もの優勝を飾ったという輝かしい実績をもつ。この勝利に関わったレーシングドライバーの多くは大富豪の子息で、ベントレーボーイズと呼ばれたことは有名な話である。ちなみにベントレーボーイズの1人であるジョン・ジャック・ダフが経営するベントレーの販売店にて、白洲次郎はベントレー 3リッターを購入している。

さて、2019年に創業100周年を迎えたベントレーだが、実際に自動車の販売を始めたのは1921年だった。つまり2021年は自動車の販売を開始してからの100周年ということになる。新しくベンテイガハイブリッドが日本にも導入されたことを記念して、代官山T-SITEにおいて、はじめてベントレーだけのモーニングクルーズを開催する運びになったのだ。

今回は事前登録制として、戦前モデルから現行型に至るまで幅広い年式においてオーナーに集まっていただいた。すでに2度もペブルビーチのコンクールデレガンスに招待されているワクイミュージアムの涌井清春氏は、1921年リッター by Gairnや、1954年Rタイプコンチネンタルおよび1959年Sタイプサルーンを伴って参加された。

ペブルビーチのコンクールにも出展した、現存する最古クラスのオリジナルベントレー。W.O.ベントレーが1921年に初めて正式発売した処女作の3リッターモデルで、シャシーナンバーは19である。

ワクイミュージアムの涌井清春氏。半世紀にわたり研究を重ねてきたベントレーの歴史を踏まえて、そのブランドのユニークさを語ってくれた。

そのほかを紹介すると1951年ベントレー Mark VI マリナ―ライトウェイトスポーツサルーン、1977年 T2、1991年ターボR、1996年コンチネンタルR 、1997年アズール、2004年アルナージT、2006年フライングスパー、2020年コンチネンタルGTCなどなど。最新型のベンテイガハイブリッドも含めて総参加台数は50台近くにおよんだ。希少車から最新型までが一堂に会したこともあり、日曜日の代官山の朝はいつも以上に厳かで艶やかな雰囲気に包まれた。

1980年代に登場したベントレーミュルザンヌや、その発展モデルであるターボR。これらは当時のロールス・ロイスで使われていた開発コードからSZ系と呼ばれている。今や立派なクラシックモデルだ。

最新型コンチネンタルGTも展示されていた。ボディカラーは落ち着きのあるオールドイングリッシュホワイト。インテリアも英国らしいフォーマルな色合いだった。

モーニングクルーズスペシャルの一つの目玉となったベンテイガハイブリッド。フライングスパーのハイブリッドモデルもすでに発表されており、Beyond100の息吹が感じられた。

開会にあたり、ベントレーモーターズジャパン、マーケティング・PRマネージャーの横倉 典氏より、ベントレー愛好への謝辞と今までの歴史、そしてBeyond100というこれからのブランドポリシーに関する説明があった。またモータージャーナリストの川端由美氏からは新型ベンテイガハイブリッドの解説があり、「鎌倉の細い路地から、都内往復の高速走行まで、まったくストレスのないドライブフィールだった」とのコメントが添えられた。また参加者にはオリジナルのゼッケンタイプのデカールおよびベントレーの100周年を記念して編集された『オクタン日本版』Vol.27がプレゼントとして用意された。

ベントレーモーターズジャパンのマーケティング・PRマネージャーである横倉 典氏。ベントレーでも長いキャリアをもち、その歴史とこれからについて夢のある話を伺うことができた。

今回のモーニングクルーズスペシャルのために特別に制作されたゼッケンスタイルのオリジナルデカール。多くの参加者が記念に持ち帰っていた。

オーナー自らマイクを握っての愛車紹介はオーナー間でも新たな発見があり、参加者やギャラリーはコーヒーを片手にその話に聞き入っていた。最後には参加者全員での記念写真をもって解散となったが、モータースポーツへの情熱に溢れた若きエンジニアが、理想のスポーツカー創りを目的として起こしたベントレーというブランドの熱き想いを参加者皆が再確認して会場を後にされたのは間違いない。

100年前のモデルと最新型が並んでも、一貫したブランドポリシーを感じさせるところが英国らしさといえる。

写真:阿部昌也 Photography:Masaya ABE

オクタン日本版編集部

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