「眠れる森の美女」のようなメルセデス・ベンツ 300S ロードスター|世界の公人が愛した最高級車

Bonhams

世界で最も高級な自動車のひとつである「メルセデス・ベンツ 300S」。1951年のフランクフルトモーターショーでデビューし、メルセデス・ベンツにとって戦後初のオールニューデザインの1台として、歴史的な意義もある。300の登場は、メルセデス・ベンツをプレステージ・カー・メーカーの最前線に押し上げ、高性能で最高品質の高級車を作るというメルセデス・ベンツの伝統に立ち戻らせた。



また、グランプリカーやツーリングカーでの長い経験から生まれた最新のリアサスペンションは「荒れた路面や滑りやすい路面での高速走行において、比肩することが非常に困難な安全性をもたらしている」と、『オートカー』誌は評している。

メルセデス・ベンツの熟練した職人によるカスタムメイドのメルセデス・ベンツ 300は、最高級の素材をふんだんに使った豪華な仕様であった。6人の乗員を高速で快適に運ぶことができる数少ない車であった。300は西ドイツの政府高官をはじめ、ヨーロッパ、アメリカでビジネスマン、金融家、政治家に広く愛用された。「アデナウアー」は、300の最も有名な顧客であるドイツ首相コンラート・アデナウアーにちなんだ非公式のモデル名となった。



保守的なスタイルの300サルーンに、戦前の540Kのエレガンスを受け継いだ300S(スーパー)が加わった。1951年10月のパリ・サロンで発表された300Sは、300サルーンを短くしたシャシーに、2シーターのクーペ、カブリオレ、ロードスターが設定された。



2シーターの300Sは、サルーンよりも大幅に軽量化されただけでなく、ソレックスキャブレターをトリプルにして圧縮比を高めたエンジンを搭載し、よりパワフルになった。最高出力は150bhp、最高速度は110mph(176km/h)にまで高められた。インテリアは、しなやかなレザーシート、美しいバーウォールナットのトリム、クロムメッキのダッシュボード計器、精密なスイッチ類など、同世代のスパルタンなモデルとは異なり、300Sは豪華な装備を誇っていた。



ボナムス社主催のThe Scottsdale Auction に出品されている300Sは、その美しさはもちろんのこと、作り込みや設計の良さ、デザインの良さなど、まさにその通りだった。戦前のメルセデス・ベンツは、改良の難しいコーチワークを提供することで、間違いなく時代の最先端を走っていた。1950年代に入ると、彼らは顧客層に合わせた車種と適切なボディをさらに明確にしていった。「S」マークが与えられた300は、クーペ、カブリオレ、そしてこのスポーツタイプのロードスターという3つの形態で究極のラグジュアリーを提供したのだ。

1953年、シュトゥットガルト・ウンテルハイムのメルセデス・ベンツ工場で、ほとんど手作業で製造されたのがこのモデルである。この300Sロードスターはヨーロッパに留まり、その後ベネズエラに輸出されたと考えられている。1970年代、ニューヨークの愛好家が現地でこの車を見つけ、トライステート地域に持ち込み、その後49年間、この車はそこで過ごすことになった。その後、数十年の間ニュージャージー州にあるオーナーの友人が所有するガレージで眠っていた。そして最近、この「眠れる森の美女」のようなメルセデス・ベンツ 300S ロードスターはカリフォルニアに輸送され、綿密に調査された。



この300Sロードスターのパネルのフィット感と仕上げの良さは車全体に見られ、ドアはたるみもなく銀行の金庫のように重厚感がある。リプレー(再塗装)が施されているが、車全体に見られるオリジナルカラーの痕跡から、新車時から見事なライトグリーンメタリックカラーで仕上げられていたことがわかる。インテリアは、かなり前にトリミングされているが、ハードウェアやシートブラケットはすべてオリジナルのようだ。オリジナルのクロームとブライトワークが残っており、ガラスの多くも残っている。また、ボッシュのヘッドライトとドライビングライトがフロントに取り付けられている。ロードスターのキャビンはオリジナルのウッドで飾られ、ダッシュボードには純正のベッカー・ニュルブルク・ラジオが設置されている。さらにkm/h表記のスピードメーターを含む、正しく、おそらくオリジナルのVDOメーターもそのまま残されている。エンジンルームを見ると、オリジナルのID、シャシー、コーチワーク、エンジンナンバープレートを含むオリジナルのブラケットとハードウェアがそのまま残されている。



このエレガントで非常に希少な300Sロードスターは、レストアのための完璧なキャンバスとなるだろう。印象的な旗艦メルセデスベンツモデルの固有の品質が、製造されてから約70年後の今でもなお輝いていることは明らかだ。素晴らしいレストアは素晴らしい車から始まるとよく言われるが、この豪華なメルセデス・ベンツをかつての栄光を取り戻すチャンスは見逃せない。

予想落札価格は4億3000万円~5億4000万円となっており、非常に高価ではあるが、これ以上ないと言ってもいいほどの「レストアキャンバス」だろう。


オクタン日本版編集部

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