「輸入車ナンバーワンの低燃費」を検証!ルノーアルカナE-TECH ハイブリッド燃費チャレンジ

Kazumi OGATA

円安が進み、原油価格が高騰し、国が激変緩和措置として実施している補助金も段階的に引き下げられ、9月末で終了しようとしている。2023年7月31日時点のガソリン価格は、全国平均で1Lあたり176.7円だったが、まだまだ値上がりは続き、190円を超える可能性も指摘されている。そもそもこの価格だって、レギュラーガソリンの価格だから、輸入車の多くに適用されるハイオクは200円超えが見えてきそうだ。

ここまで高騰すると、必要経費と割り切っていた車好きであっても、さすがに価格が気になってくる人もいるのではないだろうか。せめて普段のアシ車くらいは燃費のいい車に買い替えたい。それでも走行性能はスポイルしたくない。そんな人にルノーが提案しているのが、E-TECH フルハイブリッドをラインナップするアルカナ、ルーテシア、キャプチャーの3車種だ。

現在、日本に正規輸入されている輸入車のうち、もっともカタログ燃費が良好なのがルノーのルーテシアだ。WLTCモードで25.2km/L、うち市街地モードでは21.9km/L、郊外モードでは26.2km/L、高速道路モードでは25.5km/Lとなっている。



カタログ燃費というのは、国が規定した統一的な方法で測定された燃費数値だ。もともと60km/hで試験走行した際の燃費が記載されていたが、実燃費との乖離が大きかったため、1973年に市街地を想定した10項目のパターンを想定した10モード燃費が採用された。その後、1991年には10・15モード、2011年にはJC08モードと測定方法が変遷していったが、それでも実燃費との差は埋まらなかったため、2017年から導入されたのがWLTCモードだ。

WLTCとは「Worldwide harmonized Light duty driving Test Cycle」のことで、日本語では「世界統一試験サイクル」となる。JC08モードまでは日本独自の測定方法だったが、WLTCとなったことで世界基準の燃費測定方法となった。現在は市街地、郊外、高速道路の各モードと、それらを平均的な使用時間配分で構成したWLTCモードの4つの数値が表示されている。

WLTCモード燃費の数値は、実燃費とほとんど差がないと考えていい。乗車人数やエアコンなど電装品の使用環境にも左右されるが、1人乗車で一般的な使い方をすれば、実燃費がWLTCモードを上回ることも少なくない。以上が、ここまでが現在のカタログ燃費に対する考え方だ。



輸入車ナンバーワンの低燃費性能を手に入れたルノーは、そのアピールに熱心だ。今回、メディアやジャーナリストを対象とした、アルカナ E-TECH ハイブリッドの燃費チャレンジが開催されたため、挑戦してきた。

レギュレーションは比較的緩く、神奈川県川崎市のキングスカイフロント東急REIホテルを出発し、東京湾アクアラインを抜けて、千葉県君津市の「かずさ4号公園」で証拠写真を撮って戻ってくるというもの。途中のルート選択は自由で、乗車人数も問わない。



まずターゲットとなる数値はカタログ燃費だ。アルカナのWLTCモード燃費は22.8km/L。そして市街地モードは19.6km/L、郊外モードは24.1km/L、高速道路モードは23.5km/Lだ。全体の約8割が高速道路というコース設定なので、実質的には高速道路モードの23.5km/Lが当面の目標となる。

スタートの段階で、バッテリー残量は既に真ん中からちょっと減った状態。レギュレーションが緩めだから、このあたりの有利不利も運次第だ。殿町ICで首都高速に乗るまでは、なるべくバッテリー走行で済ませられるようソロソロと走る。しかし、高架の高速橋へ登るまでの上り坂で、エンジン走行を余儀なくされた。

アクアライントンネルの中間地点までは平坦もしくは下り坂が続くため、いったんは30km/Lまで上昇。しかし経由地点のかずさ4号公園は高台にあったため、24.8km/Lまで落ちてしまった。帰路に、シフトレバーをBレンジに入れると、強烈に回生が効き、バッテリー残量が大幅に回復することを遅まきながら発見し、挽回した。



結果としては、28.9km/L。全27チーム中、ちょうど真ん中の14位という結果だった。カタログ燃費と比べると圧倒的に良好で、高速道路モードの23.5km/Lも大幅に上回ることができた。ドライバーとカメラマンの2人乗車での挑戦としては上々だろう。

惜しむらくは、最後まで燃費向上のコツを掴みきれなかったことだ。ステップATの場合はじわじわと速度を上げる、CVTの場合はそれよりちょっと強めの加速というのが一般的だが、ルノーのドッグクラッチの特性がわからない。なにせエンジン側に4速、モーター側に2速という変則的なミッションなので、いまどのギアが使われているかさっぱりわからないのだ。さらにバッテリーの充電ロジックが雲を掴むようなのだ。電池残量の多寡とエンジンの起動がどう紐付いているのかが最後までわからなかった。

さらに戸惑ったのが、高速だから燃費が良いというわけでもないということ。木更津金田IC~木更津JCTの比較的平坦な部分で、数値が伸びない。ずっとエンジンを作動させざるを得ない区間であり、回生もそれほど貯まっていかない。どうやら加速中や一定速度での走行中はそれほど回生が稼げず、下り坂や減速時は大きく稼げるという特性があるのではないかと感じた。そうなると、むしろ市街地を突き抜けるコース設定で燃費チャレンジを行ったほうが面白いかもしれない。


文:渡瀬基樹 写真:尾形和美
Words: Motoki WATASE Photography: Kazumi OGATA

文:渡瀬基樹 写真:尾形和美

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