フェラーリ・クラシケとはエンツォの情熱を受け継ぐということ

Ferrari Japan / Ferrari

2006年に誕生した『フェラーリ・クラシケ』。今や様々なメーカーが取り組むクラシックカーの認証サービスだが、当時としてはまだ珍しかった。果たして多くのフォロワーを生んだ先駆者として、フェラーリは日々どんなアップデートを行っているのか。フェラーリ・レーシングデイズに合わせてイタリアから来日した、フェラーリ・クラシケのマーケティング&コマーシャル部に所属するファビオ・メネゴン氏にお話を伺った。



―ここ最近はどういった年式、モデルの依頼が増えているのでしょうか?
ファビオ氏(以下F):1950~60年代のクラシックカーです。特にアメリカの方々に人気が高いですね。車でいえば250テスタロッサのようなモデルの関心が高まっています。ミッレミリアに出ていたり、アルベルト・アスカリがドライブしていたりと、過去、栄光を収めてきた歴史を背負っているモデルが人気です。



―ワークス復帰で、ル・マンのモデルが注目を集めていますか?
F:ええ、非常に人気が高まっています。最近では1962年の268SP、1960年代後半に活躍した330P4といったあたりです。



―クラシケを取得すると、どのような価値が高まるのでしょうか?
F:価値が高まる仕組みについてお話しますと、その車両がどの時代に誕生し、誰に買われて、どういう改良を受け、部品が変えられてきたかを我々がきちんと点検し、最終的にはオリジナルの状態に戻します。つまり、製造された時と同じ状態になっていることを認証することで、価値が上がるというわけです。



―その際、部品がないものはどうしますか?
F:認証を与えるために、5つのパートのうち3つ以上が本物でなければならないと条件を定めています。具体的にはボディ、ルーフ、エンジン、ギア、リアアクスル(デファレンシャル)です。例えば2つしか本物でなかった場合、我々はマラネッロにアーカイブを持っていますから、残っている図面に基づいて再生産することができます。それはオリジナルではないかもしれませんが、オーセンティック、認められたものにすることができるのです。



―モデルごとのクラシケ取得金額の目安について教えて下さい。
F:例えば(目の前にある)512BBiは、歴史的な名車ではありますが、サーキットでの戦歴がある車ではありませんから、3000から4000ユーロくらいとなります。しかし様々な歴史がある場合、それを分析する時間がかかり、作業時間との兼ね合いで価格が決まってくるのです。



―モデルや内容によっては、マラネッロまで車を送らなくても、日本でクラシケを取得できますか?
F:例えば1950年代のレースカーあたりはマラネッロに送ることが必須となりますが、一方で、我々は最近ポータルサイトのシステムを作り、運用しておりますので、日本でもオフィシャル フェラーリ ディーラーに車両をお持ち頂き、写真をアップすることで分析が可能です。

―それはいつ頃から始まったのですか?
F:2022年9月からです。以前はUSBやメールを使用しており、ディーラー以外からもメールが届いていましたが、現在はディーラーからそのサイトを通じてのみ、アクセスが可能となりました。



―ポータルサイト以外に、最近アップデートされたことはありますか?
F:写真分析に3D分析機能を用いることを始めました。特に1950~60年代のレーシングカー修復などに役立っています。あと車内に鋳造、鍛造の設備を持っているのですが、それでエンジンのブロックを作り直すなど、部品が存在していないものを作ることができます。これは社内の人間の技術向上も求められますが、それも合わせて取り組んでいます。



ポータルサイトに3D分析と、今時のプラットフォームや技術を導入しながら進化しているフェラーリ・クラシケ。他にもトレーニングを目的に車両を用意するイベント『コルソ・ピロタ・クラシケ』を年に3回開催し、70~80台のオーナーが4日間イタリア国内を巡る『カヴァルケード・クラシケ』を企画するなど、クラシック・フェラーリを軸としたサービスは進化を続けている。





ただファビオ氏が前提として強調するのは、そのアーカイブが充実していることだ。
F:エンツォ・フェラーリは天才でした。なぜなら、1947年に誕生した125Sから全ての車両の細かい情報をマラネッロに保存したからです。それがあるからこそ、修復でき、認証が可能となります。我々従業員も、そしてオーナーの皆様には責任があります。エンツォが情熱をもって行ったことを受け継ぎ、次の世代に渡すことが重要なのです。


文:平井大介 写真:フェラーリ・ジャパン/フェラーリ
Words: Daisuke HIRAI Photography: Ferrari Japan / Ferrari

文:平井大介

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