オーナーが心の底から楽しめるクラシックカーコンクール「ポルトゥ・クアトゥ・クラシック」とは

Piotr Degler



さて、コンクールのリザルトは如何であったか?

「La Dolce Vitaクラス」は、第二次世界大戦後のイタリアの好景気を象徴するかのような1956年式ランチア・アウレリアB24コンバーチブルが制覇。これはディーノ・リージ監督による1962年のカルト映画「追い越し野郎」の“主役”でもあった個体だ。このクラスでは1969年式アルファロメオ1750スパイダーヴェローチェがFIVA賞を獲得し、非常にレアなエメラルドグリーンのエクステリアを持つ1960年式シボレーコルベットC1が「メイド・イタリー」賞を受賞した。





「Love and Peace」クラスは、1967年イノチェンティ・クーペが獲得。クリーンなスタイリングのボディのボディを持ちきわめてレアなこの小さなクーペは大絶賛であった。それにオーナーは色違いでこのモデルを複数台所有する超エンスージアストであることも付け加えたい。1963年フォルクスワーゲン・マッジョリーノがプレミオ ASIを受賞し、フィアット500アートカー(2007年の展覧会「Why Africa」のため描き下ろし)は、グッドウール賞を獲得した。

「Sex on the beach」クラスは、トリノのレストア工房シャーウッド・ガレージが持ち込んだブルセギーニ(Bruseghini)750ジョーカーが制覇。1970年代後半に20台以下しか生産されなかったフィアット600ベースの超レアモデルだ。

フェラーリ創立75周年を祝う「Ferrarissima 75」クラスでは接戦が繰り広げられた。最終的に北米コレクター、エイドリアン・ラビが出品した1958年250GTツール・ド・フランスがベスト・イン・クラス。オランダのメトロポール博物館が出品した1952年フェラーリ212ヴィニャーレにはイタリア国立自動車博物館賞が授与され、それに続いた。さらに1989年型フェラーリF40が特別賞を獲得。



そしてなんとRUFのオーナーであるアロイス・ルフ自身が持ち込んだRUF CTRアニバーサリープロトタイプは、「Supercar」クラスのベストインクラスに選出。そう、アロイス自らが語るその知られざるビハインド・ストーリーにも大いに感動した。



「Rally Queen」クラスでは、1994年トヨタ・セリカが制覇。その、動態保存のようなとんでもないオリジナリティに皆はびっくり。ピレリ賞は、ジョルジョ・シェーンと彼が2019年の北京-パリを競った1975年フェラーリ308GT4が獲得。そう、彼はイタリア最大のフェラーリ・ディーラー、ロッソ・コルサのオーナーというこの世界の超有名人でもある。





レストモッド・カーに与えられる「Something Special」クラスでは1982年製ポルシェ911が獲得した。

オープニングのアペリティーボを楽しんだサン・パンタレオの居心地の良い広場から世界的に有名なポルト・チェルボ、「私を愛したスパイ」のカプリチョリビーチまで縦横無尽に走り回ったコンコースも終わろうとしている。主催者であるシモーネ・ベルトレイロとミッレミリアでも有名な女性コメンテーター、サヴィーナ・コンファローニの進行によるアワード・セレモニーの最後を飾る栄誉あるベスト・オブ・ショーは1983年ランチア ラリー037エミネンスであった。



その誕生した当時のリヴァリーを含むスペックへとフルレストレーションされた素晴らしいコンディションの個体であった。それはまさに40年前へとタイムスリップしたかのような…。それだけではない、約40年前にコスタ・スメラルダ・ラリーでサルディニアを走り、同じ年にツール・ド・フランスで総合3位になったという、ここサルディニアとの深い絆までが存在したのであるから、これほどベスト・オブ・ショーにふさわしい一台は存在しないではないか。この素晴らしい037をコスタ・スメラルダに呼び戻し、今度は優勝までさせたのは、元F1ドライバーでヨーロッパのクラシックラリー・カーのチャンピオンでもあるエリック・コマスであったから、さらに価値のあるオマージュとなった。もちろん我々日本人にとってもとても近しいヒーローであることは言うまでもない。なにはともあれ、来年のポルト・クアトウ・クラシックへ貴殿もエントリーを検討されるよう、強くお勧めしたい。

このポルト・クアトゥの全期間中、イタリア国家警察のランボルギーニ・ウラカンがエスコートしてくれたこともよい思い出だ。

https://www.poltuquatuclassic.it/en

文: Shinichi EKKO
写真:Shinichi EKKO, Piotr Degler - @degler_studio

文:越湖信一

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