「錆は決して眠らない」|1973年ポルシェカレラRSのサビの進行具合は?

Delwyn Mallett

『Octane』UK版スタッフから届いた愛車レポート。今回は1973年ポルシェカレラRSを8年落ちで手に入れ、その後30年以上所有しているデルウィン・マレットが「錆」について語ってくれた。



「錆は決して眠らない」という古い格言を証明するものとして、私の1973年式カレラRS以上に相応しいものはないだろう。

私は1981年からこのRSを所有しているが、前のオーナーが所有していた8年間も、その前の数十年間も、このRSはあまり可愛がられていなかったと言わざるを得ない。若い読者は、ガルバリウム鋼板が使われる以前のポルシェは、非常に錆びやすいということを知ったら驚くかもしれない。1980年代までに英国で販売された356の大半は、スクラップ場に姿を消し、多くの初期型911もだんだんと朽ち果てていった。私のRSも例外ではなかった。

筆者が所有するカレラRS。

私は購入後すぐにウィングを手に入れ、新しいシルに交換し、塗装を剥いで再塗装した。しかしそれから30年もそのまま普通に使用していたため、交換しなかった部品は老朽化が進んでいた。この車は、非常に高価なボディ修復をするかしないか、瀬戸際に立たされていたのだ。

最も老朽化が顕著だったのは、錆びたシルだ。これではMoT(法定検査)を受けるのすらも難しいということで、私はこの車を一時的にガレージにしまい込み、エネルギーと資金を別の愛車である365 ストリームライナーのレストアプロジェクトに向けることにした。

356 ストリームライナーのレストアには、予想以上に時間がかかり(なんと4年!)、その間にRSの内部を錫虫が静かに齧り続けてしまっていた。

ストリームライナーの完成が目前に迫った頃、私はデヴォン州のクラシックファブリケーションのスティーブ・カーチという人物の存在を知り、彼の仕事に感銘を受けた。そこで私は、彼の元にRSをレストアに送り出すことにしたのだ。RSは部分的にボディパネルを剥がされ、ロールオーバー・クレードルにボルトで固定され、スティーブ・カーチがレストアしてくれることになった。

必要なボディパネルのリストを作成するため、スティーブにRSを徹底的に調べてもらった。スティーブが必要と考えるボディパネルの数はにわかには信じがたかったが、私はとりあえずすぐにデンマークに注文した。

2020年、ついにストリームライナーのレストアが終わった。ついにRSのレストアに取り掛かることができる。私はスティーブにRSの切断と溶接に着手するようお願いした。彼の言葉を借りれば、私のRSは「今まで手がけてきた911の中では最悪ではない」とのことだったが、ブラストで明らかになった錆の多さはやはりショックであった。

ブラストと穴あけが終わったボディは、いよいよボルトで固定され、分解が始まる。これからの進展がとても楽しみだ。


文:Delwyn Mallett まとめ:オクタン日本版編集部

オクタン日本版編集部

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