「人間誰しも心に仏がある」心に向き合い、ととのえる旅|禅と湯 ととのう京都 体験記:其の一

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その後、訪れたのは同じく京都・宇治市にある興聖寺。中国から帰国した道元禅師が天福元年(1233年)に伏見の深草に開創した、日本で最初にひらかれた修行道場だ。その後、正保2年(1645年)に淀藩主の永井尚政により宇治に再興され、現在に至る。



伽藍配置の説明など、境内のご案内をいただいた興聖寺の鈴木泰道さん。

御本尊は釈迦牟尼佛で、寺伝では道元禅師の自作とされている。1万4000カ寺以上ある曹洞宗で最古の寺として、禅の精神を広く伝えるため一般の人に向けた坐禅や写経の体験も随時受け付けている。



伏見城の遺構を用いて建立された法堂には、伏見城の戦いによって残された血のついた手形や足形があり「血天井」と呼ばれている。

坐禅は僧堂(坐禅堂)にて、壁側を向きおこなう。スペースは一畳分。

庭園には「坐禅石」と呼ばれる石がある。いつでも、どこでも、夜でも坐禅ができるように据えられたのだという。

坐禅や写経以外にも、今年の冬は興聖寺で体験できる宇治らしいプログラムが用意されている。今回体験したのは「宇治抹茶お香づくり」。まるで干菓子のような可愛らしいお香を手作りできるプログラムだ。お香には「火を点けて香るお香(線香など)」「温めて香るお香(香木、練香、印香など)」「常温で香るお香(匂い袋など)」の三種類があり、この宇治抹茶を練り込んだお香は「温めて香るお香」の「印香」にあたる。

講師はインセンスキッチン代表の後藤恭子さん。

講師の解説と実演のもと、お香の原料であるタブ粉と宇治抹茶の粉を合わせて練っていく。練り上がったお香を、お茶や宇治の風景、そして季節の風物などが彫られたオリジナルの型に入れて成型する。ほのかに漂う抹茶の香りに包まれて手作業に集中すると、時間が経つのも忘れてしまうほど。萬福寺での坐禅体験に続き、ここでも存分に“ととのう”ことができた。





オクタン日本版編集部

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