気が付けば世界有数のクラシックカーコレクターに│そのきっかけとは?

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ロールス・ロイスとベントレーが集まってきたのにも特殊な成り立ちがある。「スピード違反でつかまり、しばらくの期間、免許証が停止になってその間、ドライバーと相応しい車が必要になりました。母がロールス・ロイスに乗っていたので、私はベントレーにしました」

この1台が、複数続くベントレーの1台目となった。たとえば、1954年Rタイプ・コンティネンタルや、元ウルフ・バーナートの1930年4.5リッター・ガーニー・ナッティング、そして2シーターのS3グラバー・"ハネムーン・エクスプレス"などだ。



アメリカ車ではキャデラックが多くを占め、バンパーに国旗を掲げた1953年エルドラド・コンバーチブルもあった。「アイゼンハワー大統領の就任パレードで使われた車のプロトタイプです。歴史的な重要性があります」とリーが説明してくれた。その脇にはコレクションを観に来た3人の元大統領とリー氏の写真が飾られ、父と息子両方のブッシュも写っていた。

1985年にペブルビーチで開催されたコンクール・デレガンスに訪れたことが、ボブ・リーにとって大きな転機となった。「最高に美しい車を見ました。ベスト・イン・ショーを受賞した1939年ブガッティ・タイプ57ソーチック・カブリオレは、当時も今でも、最も美しい車です。その翌日に手に入れ、続く4年の間に数台、時にはまとめて3台を購入しました。一度など、クィーンエリザベスⅡ世のロールス・ロイスを2台購入したら、翌日に英国政府から連絡があり、さらに2台欲しいかと尋ねられましたっけ。当時は今ほど高騰していなかったので、車庫には次々と車が増えていきました」



ガレージには1台1台に専用のスペースが設けられ、メインテナンス・スケジュールが組まれていた。数週間おきに走らせるが、走行距離や修理などがすべて細かく記録されている。また、ペブルビーチでは2度のベスト・イン・ショーを受賞している。最初は2006年に1931年デイムラー・ダブルシックス50コーシカ・ドロップヘッド・クーペで、そして二度目は2009年に1937年ホルヒ853 ヴォル・ルーベック・スポーツカブリオレによって栄冠を手にした。

未達の夢は、ほとんどないそうだ。「車そのものを楽しみ、さらにそれらに紐づく思い出、そして私にとっての重要性を楽しむということが、日に日に強さを増しています」

コレクションの中で、1962年ランドローバー109は特異な存在であり、最も愛されている1台だ。
「サファリのため、私の経験に基づき、ソリハルの技術者と準備をしていました。左ハンドルで、入手が用意なディーゼル仕様です。前方のシャシーは拡張してあり、ブッシュに引っかからないようにルーフラックは丸めました。リアウィンドウの汚れを抑えるためにスポイラーを付け、アンダープロテクションには強固な物を備え、予備燃料として5ガロン缶を4個、VHFラジオ、ルーフの換気口、ライフルラック、そして湯と冷水のタンクです。完全にオリジナルで、リペイントをしたことなどありません。沢山の思い出が詰まった1台で、30年連れ添ったアンとの結婚を決めた時、ボブ・マイヤーからお祝いでいただいた1979年フォルクスワーゲン1303スーパービートルカブリオレと同じくらい思い入れがあります…」

興味深いコレクションは、偶然の成り立ちによるものだった。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:数賀山 まり Translation:Mari SUGAYAMA Words:Massimo Delbò 

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