ジャガー創立者 ウィリアム・ライオンズ卿のために生産された「ジャガー Mk.X」

1961年ジャガー Mk.X(Photography:Amy Shore)

ジャガーの創立者、ウィリアム・ライオンズ卿が自ら使用したジャガーMk.X。ジョン・シミスターは、卿が「我が家」と呼んでいた有名な大邸宅からドライブにでかけた。

ジャガーMk.Xは、ジャガーサルーンのカタログモデルとしては現在でも同社の歴史上最大のサイズを誇る(編集部註:ボディに備えられたロゴはMk.10だが、ジャガー社を含め一般的にはMk.Xと表記している)。

最大のジャガー
発表は1961年。現行のジャガーXJシリーズはもちろん、BMW7シリーズ、メルセデスSクラスより幅広く、かつこれらの標準ボディより長い。それぞれのロングホイールベース・バージョンではこれより長い全長を持つものもあるが、それも僅かなものだ。

すなわち、発表時の1961年当時、Mk.Xはロールス・ロイスのクラウドIIよりも幅広く、非常に巨大に見えたということだ。その、大らかで"楽観的"とすらいえるボディデザインは、それまでのジャガーのトップレンジのデザイン・アイデンティティを色濃く継承しつつも、完全なフラッシュサイドとなったボディにあわせてヘッドライト位置を車幅一杯に広げるなど、大きくモダナイズされていた。

人々は、これをもっとも洗練されたラグジュアリーサルーンだと考えた。子供たち(7歳だった私もそうだ)の要求にも応え、ミニチュアカーもすぐに登場し、最初にコーギーがメタリックブルーに塗られたMk.Xを発売した。ボンネットのみならずトランクも開閉式で、そのトランクの中にはちゃんとスーツケースとアタッシュケースが積み込まれていた。ディンキーがそれに続き、さらに老舗のトイメーカー、ラインズブラザース社のスポット・オンからもブロンズカラーのMk.Xが発表された。3台のモデルの中では、コーギーの表現が実車のエッセンスを最もよく表していたと思う。モデラー達が捉えたものは、先代のMk.IXまでの、縦長のラジエターグリルを拡大解釈し縮めて埋め込んだフロントエンド、フロントとリアのウインドスクリーンの絶妙なダブルカーブ、そして前後のホイールアーチの形状だった。それはまるで力強く飛びかかろうとするジャガーを思わせた。

編集翻訳:小石原耕作 Transcreation:Kosaku KOISHIHARA Words:John Simister Photography:Amy Shore

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