パリの暴走バイクサンタクロース軍団の正体は? 心温まるクリスマスシーン

コンコルド広場の一角を占拠しているバイク達。後にちらっと見える建物はFIAの本部だ(Tomonari SAKURAI)

ここのところ零度以下が続くパリ。冬真っ最中。そんななかでもクリスマスを前になんとなくぽかぽかと感じるパリ。昨年に比べ今年はもうマスクやワクチンだの縛りがなくなりクリスマーケットは以前のように大盛況だ。

おもちゃの兵隊とスケート。シャンゼリゼ大通りのマルシェ・ド・ノエルがテロを警戒して消えてしまった分、パリでもっとも大きなマルシェ・ド・ノエルとして人気のチュルリー公園。11月19日~1月8日まで開催。

そんなパリのクリスマスをお伝えしようと、ルーブル美術館とコンコルド広場に挟まれたチュルリー公園のマルシェ・ド・ノエルに出かけてみた。正直、ここは夏の移動遊園地の飾り付けがクリスマスになった程度しか変わらないので新鮮味はないけれど、食べ物を扱う屋台はヴァン・ショー(ホットワイン)やとろとろのチーズのフォンデュやラクレットと冬の名物料理に変わっているのがクリスマス感を盛り上げる。もちろん、会場中央には小さいながらスケートリンクもできている。

土曜の午後ということもあり、もう凄い人の数。外国人観光客も多い。

ウクライナ侵攻、大規模ストライキと価格高騰が他国よりも酷いかもしれないフランスでは、屋台や、乗り物の価格も2〜3割は上がっている。世の中値上がりの風潮から、便乗値上げのところもあるようにも見えるが、まあ、お祭りだ。人気の屋台はそれでも人の列が止まないのだ。オニオンスープやフォンデュで体を温めつつ、マルシェを見物。

ちょっと遅いお昼ご飯にキノコ入りチーズフォンデュ。1人前約2150円。

こちらはオニオンスープ。1杯約1500円。とにかく高いのはフランスの価格。そして味は決して良くない。

クリスマスとは関係ないモノも多い中こういった商品が並んでいる出店を見るとマルシェ・ド・ノエル感が高まる。

今年のクリスマスはどう過ごそうか思案しているとコンコルド広場の方から爆音が響いてくる。コンコルド広場には観光客もレンタルできるフェラーリやランボルギーニなどが集まっている。それらがサッカーの試合やこのクリスマス向けに騒いでいるのだろうと勝手に思い込んでいた。ところがその音は一向に止まない。気になってマルシェ・ド・ノエルを後にしてコンコルド広場を覗いてみることにした。

マルシェ・ド・ノエルの賑わいから遠ざかりはじめるとその爆音はバイクのそれだと気がつく。コンコルド広場の一角にバイクの群れを見つけた。それを取り囲むように通行人がスマホで撮影している。かなりの数のバイクだ。そしてみんなぺール・ノエル(クリスマスの父というのが直訳だがサンタクロースのこと)の格好をしている。そして皆、空ぶかししているのだ。

移動をはじめたバイクに跨がったサンタ達。とにかくおとなしくしていない。空ぶかしは止まない。正面右側の建物はブルボン宮殿、国民議会、日本でいう国会議事堂だ。

それを見張るようにフランス国家警察の白バイが睨みをきかしているようにも見える。デモやストライキの好きなフランス。なにかバイカー達が訴えるデモか?と聞いてみると”La balade des Pères Noël 2022”(サンタクロースライド2022)というイベントだという。YouTuberのCHRIS RSが主催し、参加費を病院に入院している子ども達へのプレゼントとするというものだ。

サンタの格好をしたバイクのチャリティイベントで、公式なイベントとして白バイ隊が先導する。言われてみれば、たしかに移動の際は他の車を停めてこのバイクの群れを行かせる役目をしていた。参加台数は数百台。恥ずかしながらこれは知らなかった。実はこのイベントは各地で行われていて今週あたりがピークらしい。

先導だけでなく、バイク達が横断する間止められていらつく車のドライバーをなだめるのも白バイ隊の役目。小柄な女性の白バイ隊。さすがに空ぶかしはしていなかった。ちなみにフランス国家警察白バイ隊はYouTubeチャンネルを持っている。@scm7558 にアクセス!

参加車両はきっと参加者の年齢層が若そうで(ヘルメットで確認できず)最近のモデルがほとんどだ。中には本当にサンタクロースのような人もいて風格のBMW R1200だったり。これは楽しそうだ。来年は参加してみようかな?しかし、これだけうるさいイベントができるのに、パリ横断が縮小されていくのはどうなのか?とちょっと思ったりするのだった。

CBR900RRをトリコロールカラーにしている。

ZZR1100D1。きれいにしていることにも驚きだがライダーのヘルメットに併せたサンタの帽子にさらに驚き。ちなみに、こういったきれいなZZR1100は結構見かけるのだ。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成

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