VWビートルにスバルのエンジンを換装!その調子は?

Matthew Howell

『Octane UK』スタッフが所有する「スバル-VW ビートル」。非常に気になる響きだが、実際のところはどうなのだろう? エンジン載せ替えの顛末を、オーナーのマシュー・ハウエル自身がレポートする。



新型コロナウイルスやワクチン、そして誰かが咳をするたびに大騒ぎするようになる前、古い友人のデーモンと私は、1969年のビートルをヒストリックなラリーカーのオマージュ的に仕上げようと頑張っていた。ある晴れた朝にその車がほぼ完成した時、デーモンが立ち上がってこう言った。「この車にもとの空冷エンジンを戻すのはいやだな。スバルのフラットフォーエンジンを載せるのはどうかな?びったり入ると思うよ」

この時、彼にはそれを裏付けるエビデンスはなかったが、二人で紅茶を飲んでいる間に、あるアイデアを思いついた。そして1〜2カ月後、『Octane』読者の方が助けに来てくださった。なんと、車検切れではあるもののしっかり走るフォレスターを、手頃な値段で譲ってくれたのだ。エンジンとワイヤーハーネスに加え、その他必要なものすべてが揃っていた。

並行して私たちはリサーチを進めていた。そして、エンジン交換は順調に進んでいたが、イモビライザーのケーブル、アンテナ、イグニッションキー、ECUなど、多くのものが必要だということが判明した。元々のフォルクスワーゲンに入って動いていたこのエンジンは処分しないように、というはっきりとした忠告もあった。そうでないと、トラブルは新たな次元まで巨大化する恐れがあるそうだ。必要なパーツがすべてあるか不明だったが、念のためにフォレスターも車庫で待機させていた。



そうしているうちに、あるときを境に世界が変わってしまった。誰も外出ができなくなり、コロナにかかると死んでしまうと皆が怯えていた。100マイルも離れた場所に住むデーモンも、こちらに来て車を仕上げることができなくなった。そういうわけですべてが止まり、その後の2年間は何も進まなかった。

2022年になった頃、このビートルを仕上げたいという熱意が再燃した。残された作業のリストを見ると、こんな感じだった。フォルクスワーゲンのエンジンルームの仕上げ、カットダウンして仕上げたスバルエンジンの装着、冷却システムとインジェクションフュエルポンプのプラム(重り)の取付け、などだ。



時間を節約するため、そして火事を防ぐために、スタッフォードにあるロードハウス・モーター社のティムに来てもらった。彼は、フォルクスワーゲンに新たなエンジンを載せただけでなく、その他のややこしい作業を1日でやってのけた。素晴らしい仕事ぶりだった。ティム、本当にありがとう。私はとても心配していたが、ラジエーターのどの接合部からも水は一滴も漏れていなかった。燃料系システムも同様だった。残るは、エンジンをかけてみるだけだった。

フォルクスワーゲンに水をあげよう。これはスバルエンジン搭載なのだから。

スパークプラグを引き出してアースをし、デーモンはイグニッションキーを廻した。私たちは固唾をのんで見守った。プラグにスパークは飛んだが、それはたった一発の火花だった。スバルのイモビライザーのせいで、エンジンがかからなかったのだ。何度か電話をしてわかったのだが、イグニッションバレルの外側の、なんの変哲もない黒いプラスチック製のリングが必要とのことだった。それは実はイモビライザーのアンテナで、キーと連動し、異常がない旨の信号をECUに送るものだという。この瞬間に私は、錆びて苔にまみれたフォレスターをまだスクラップにしていなかったことに安堵した。

今では、この車は順調に走っている。でも実際のところは、完璧ではない。最近気づいたのだが、どうやらスバルエンジンに繋がるアンテナになるワイヤーがなくなっているようだ。グッドニュースとしては、その不具合がなんとかなりそうなこと。あと1〜2週間すれば、私たちのもとに元気ハツラツなスバルエンジンのビートルが戻ってきてくれるはずだ。


文:Matthew Howell まとめ:オクタン日本版編集部

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