神話を紡ぐ!「グループAの伝説的な日々を再現する」新たなランチア デルタが登場

maturo cars

誰もが愛するランチア・デルタ・インテグラーレ。昨今では、オリジナルモデルの人気も高まっているが、デルタを後世に受け継いでいくため現代風にアレンジを加えた"レストモッド"もブームとなっている。デルタ好きであれば、アウトモビリアモスによる"futurista"もご存知であろう。インテグラーレ 16vをベースに、大胆なカスタムを加えたものだ。限定生産の20台は、すぐにソールドアウト。世界中の愛好家から注目を集めたのであった。

そして今回新たに、オランダの会社であるマトゥーロストラダーレ(Maturo Stradale)によって彼らなりに解釈された新生デルタが発表された。マトゥーロはランチアのスペシャリストであるフランク・ヴァン・ガンゼヴィンケル氏が設立した会社である。フランク氏はデルタ・インテグラーレの大ファンで、ラリーのためにインテグラーレを高いレベルで整備してきている。また、グループBのランチア037、グループ4のフィアット131アバルト、フェラーリ308GTBも同じように扱っている。そして、デルタ レストモッドをイチから開発し、可能な限り高い水準で製造するという野心も抱いている。モットーは"グループAの伝説的な日々を再現する "だ。



フランク氏のビジネスパートナーであるマルコ・ゲーラッツ氏もインテグラーレに並々ならぬ情熱を注いでおり、同じく情熱を持つ息子のシオン氏とともにインテグラーレでラリーに参加を重ねている。マルコ氏はこのようにコメントしている。「デルタインテグラーレは、世界ラリー選手権で6回優勝しており、最も成功したラリーカーのひとつです。私たちのストラダーレは、インテグラーレの外観、個性、歴史を尊重しつつ、グループA WRCマシンの性能も併せ持つことが重要だと考えています。それに加えて、より高い信頼性と公道での使い勝手の良さをプラスしています。フランク、シオン、そして私の3人は可能な限り、美しく、効率的に、信頼性高く、素晴らしい神話を紡いでいきたいのです」

かつてのデルタ インテグラーレは、75馬力の1.3リッターのファミリーカーをベースにしており、評価は高いものの改善しなければならない細かな点や大きな欠点は多く挙げられる。そこで、マトゥーロは現代でも乗りやすいデルタを目指し、カーボンファイバー製のボディに380馬力ものパワーに達するエンジンを組み合わせた。カーボンボディのおかげで、車体重量は約50kg軽くなるが、そのうち20kgは標準装備されるロールケージに使われる。車体重量としては1200kg弱を目指している。エンジンも徹底的なオーバーホールがおこなわれ、エアーやガスの流れを改善し、可動部が大幅に強化される。しかし、ボンネットの中は可能な限りオリジナルのデルタを維持するよう配慮されているそうだ。また、エンジンの強大なパワーに耐えられるよう、ボディ、特にフロントアクスルを補強することだ。一台一台、250カ所以上の溶接や補強が施される予定となっている。開発・製造は、25年にわたりラリー車の製造、レストア、サービスに携わっている有名ショップ MCCが携わっているというのもひとつ期待できるポイントである。



エンジニアを務めるフランズ氏はこのように説明している。「インテグラーレの長所である配分は、19mmから25mmへと大幅に拡大された歯付ベルトを装着することで、アップグレードされています。そのために、バランスシャフトを取り外しました。ECUとキャロット製のインジェクションシステムで、シャフトは不要になりました。また、ターボの内部を再開発し、プレーンベアリングからローラーベアリングにすることで、回転が40%速くなりました。ターボの圧力もオリジナルの1.2barから1.8barに上げて、徹底的にエンジンを作り直しました。ストラダーレは、380psの最高出力と550Nmを超える最大トルクを発揮します」



オリジナルのインテグラーレの4輪駆動は、強度に優れているとはいえず、ハードな使用でドライブシャフトが壊れがちである。そこでマトゥーロは、F1用に開発された特殊な素材を使ったアクスルに交換した。フロントアクスルには通常、ディファレンシャルロックは装備されていないが、新生デルタでは完全機械式のディファレンシャルロックが装備されている。リアアクスルのトルセンデフは、完全な機械式ディファレンシャルに置き換わる。ドライバーには油圧式ハンドブレーキが装備され、WRCスタイルでタイトなコーナリングを可能にする。

フランク氏もまた、次のように説明している。「私たちは最高のレスポンスを車に求めています。フロント330mm、リア282mmのディスクを搭載し、ドライバー自身がバランスを調整することができます。また、5段ギアボックスも強化し、特に1速、2速、3速はスムーズに使えるようにしました。イントラックスと一緒にスプリングとダンパーを開発していますが、これは4ウェイ調整式で、グラベルを走る場合を想定して車高も変えられるようにする予定です。また、高速道路で快適に走行するためのモードも用意する予定です。購入者がストラダーレで長距離移動もできることは、とても重要なことだと考えています」

マトゥーロが製造するデルタは、決して安い買い物ではない。その価格はすでに15万ユーロ以上となっている。6月には最初の1台が完成し、テスト走行ができるようになるとのことだ。歴史を紡いでくれる新たなデルタが待ち遠しい。

オクタン日本版編集部

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