超レアモデルのランボルギーニ・シアン5台が揃い踏み!ド迫力のコラボレーションに眼福

Photography: Hidehiro TANAKA



5台のシアン集合、奇跡のコラボレーションを“拝んだ”あとにサプライズが待っていた。板倉会長から「高速をひとっ走りしてみはったらどうです?」、とシアン試乗の許可が出た。会長の気持ちが変わらないうちに、と、グラデーションカラーのシアンに乗り込む。



先にざっとシアンの概要を復習しておこう。2019年の秋に登場したアヴェンタドールベースの限定モデルである。正式名は「シアンFKP37」。シアン発表の直前に亡くなった“フェルディナント・カール・ピエヒ”に敬意を評して急遽、そう名付けられた。37はピエヒの誕生年を表す。どうしてランボルギーニがピエヒを追悼するのか。ランボルギーニの今の隆盛は98年のアウディによる買収があってこそ。その立役者こそピエヒであり、また彼の理解があって初めてガヤルドやアヴェンタドール、ウラカンといった大ヒット作が生まれた。特に10気筒エンジンはピエヒの遺産というべき存在だ。

アヴェンタドールのカーボンモノコックをベースに改良を加え、12気筒エンジンとISRミッションとの間に25kWの電気モーターを挟み込み、大容量のスーパーキャパシタでそれを駆動するというマイルドなハイブリッドシステムを搭載した。エンジン単体もチタンインテークバルブを採用するなど進化しており最高出力は785psまで高められている。

スタイリングはミッティア・ボルカート率いるチェントロ・スティーレ作。ミッティアにとってはポルシェから“異動”して初のオールニューデザインである。のちにシアンベースの新型カウンタックも登場するわけだが、実はこのシアンこそカウンタックをモチーフにした現代解釈版だった。

果たしてシアンの乗り味は「アヴェンタドールの完成形」というべきものだった。電気モーターは低速域での走行をカバーするほか、実はISRミッションのシフトアップ時におけるトルク落ちも埋めるようブーストされる。それゆえ、ハーフスロットルでのオートマチック加速では驚くほどスムースに変速するのだ。



それだけじゃない。マニュアル操作で変速してもシフトアップ時にはっきりと力が加わるため、ギアをあげると同時に前のめりに加速する。この感覚はこれまでのアヴェンタドールにはなかったもので、シアンのパワートレーンに特有の加速フィールだと言っていい。

はっきりいって、700馬力の初期型アヴェンタドールだろうが770馬力の限定車SVJだろうが、パワフルさはほとんど同じにしか感じられない(とはいえ最後の最後、超高回転域での伸びと力強さが違うのだけれども)。けれどもシアンの場合、日本の制限速度内では電気モーターのブーストによる恩恵を受けることができるため、普段乗りの環境(要するに100km/hまで)ではっきりとレスポンスよく加速し、実際に速いと感じることができる。そこから上は純粋にエンジンの出番で、モーターはでしゃばることができないため、他のアヴェンタドールと印象は変わらないかもしれない。要するに低中速域での加速がシアンの方がベラボーに速かった、いうわけで、スーパーキャパシタと電気モーターによるアシストは極めて大きな現世利益があるのだった。


文:西川 淳 写真:タナカヒデヒロ Words: Jun NISHIKAWA Photography: Hidehiro TANAKA

文:西川 淳 写真:タナカヒデヒロ

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