ランボルギーニ史上最速!最高速度350km/hのハイパーハイブリッドカー「SIAN」

Lamborghini

ボローニャの方言では、Sian(発音は“シーアン”)は、「稲光」という意味だ。つまり、ランボルギーニ社の正式かつ最初の“電動化自動車”には相応しい呼称といえるだろう(2014年の『アステリオン』はコンセプトカーだった)。

同じくらい血の気の多いアヴェンタドールと共通部分が多いものの、シアンにはさらなるパワーが追加されている。たとえば、自然吸気の7リッターV12エンジンは785CV(577kW)にパワーアップされたうえ、さらにギアボックスに内蔵された48Vの電気モーターによる34CVが加味され、システム出力は819CVを誇る。



スタイルも血の気が多い様相だ。ランボルギーニ・マルツァル(1967年ジュネーヴ・ショーでベルトーネが発表したショーカー)にインスパイアされたヘキサゴン(六角形)のモチーフが、ツイン・エグゾーストパイプからドアミラーやテールライト、メーター、そしてリアウィングに装着された整流板にまで、随所に散りばめられている。さらにランボルギーニ社によると、究極の陸海コンビネーションが可能という。つまり、250万ポンドで、2基のV12エンジンを搭載した4000CVのテクノマール製スピードボートに、シアンと同じペイントワークが注文できることだ。

シアンは、ランボルギーニ史上最速の車となり、0-100km/h加速は2.8秒にすぎない。そして、シアン専用に開発された、高度に進化した回生ブレーキシステムが採用されている。ブレーキが踏まれるたびに(最高速度350km/h)、回生された電気エナルギーはスーパーキャパシタに充電される。一般的なバッテリーではなく、スーパーキャパシターを採用したことが特徴である。キャパシタに蓄えられた電気エネルギーはすぐに利用可能で、電気モーターによる強力なトルクをドライバーが手にすることができる。モーターは120km/hまでアシストし、ドライバーはギアチェンジによるもどかしさ、すなわち“ランボ・ラグ”から開放されるというわけだ。

819CVを発揮するV12と電動モーターのコンビネーション。

シアンは、“おだてたり、なだめたりする”ことは不要だ。スタンディングスタートの時点から、そのパフォーマンスには度肝を抜かれる。英国のテストコース、ミルブルック試験場のバンク付きオーバルコース“で200km/hを出していても、その姿は高速道路の低速レーンで轟音を上げているだけにみえる。幸いなことに、ハイブリッドカーであるにもかかわらず、エグゾーストの轟きは今も純粋に“ランボ”らしいものだ。

私には、ペースカーのウラカンを追いかけることしかできない。しかし、どのドライブモードを選択しようとも、すぐに獰猛なレベルのパフォーマンスが発揮される。だが駐車する際は、不器用でぎこちなさも露見してしまう。

内装はアヴェンタドールSVJのものに似ている。巌のごとく硬いシートだけは別にして、ランボルギーニのトレードマークである、フラップ(押し上げ)式のスタートボタン、いつも通りにうまく隠された計器類、フロントガラスのボタン等は健在だ。



スーパーキャパシタを採用したことで、シアンは驚異的なボディーワークを実現している。それにより、顧客たちは819CVという強大なパワーを秘めた超弩級ハイブリッド・ハイパーカーを駆り、多くの通行人たちを魅了することになる。それは、この会社が極めて強力なV12のガソリンエンジンを製作し、思うがままにさせることで有名である所以である。それもそのはず、イタリア人が数十km/hしか走行できないような、ゆるいプラグインハイブリッドカーを送り出すとは、誰も思っていないだろう。

この車は、ランボルギーニ社にとっても非常に重要だ。それは、2億ポンドを超える総額で、19台のロードスター、63台のクーペが完売したことだけによるものではない(この「19」と「63」をつなげると、フェルッチオ・ランボルギーニによる同社創業年を表す)。シアンはまた、同社の新時代のスタートを運命づけることとなる。2030年のガソリン車廃止という目標に向けたレースにおいては、V10のウラカンやアヴェンタドールといった車種の体制を整える基準となるだろう。どちらも250万ポンドという、とんでもない価格なのだが、このシアンのオークション価格がどうなるかも、早く見てみたい。エキゾチックスーパーカーのコレクター達は全員、このランボルギーニV12の最終進化系であり、かつ最初のハイブリッド・ランボルギーニを、プライベートコレクションのステージの真ん中に飾りたいと思うことだろう。


まとめ:オクタン日本版編集部 Words: JEREMY TAYLOR

オクタン日本版編集部

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