「イケてるポルシェ乗り」王女様のラリーを全速力で走るクラシック・ポルシェ

Photography: Tomonari SAKURAI

細腕だからってナメてもらっちゃ困る。フランスで20年も続いている"女性の女性による女性のためのクラシックカーラリー"。それが「Rallye des Princesses RICHARD MILLE 」だ。5日間で1700㎞を走り抜けるタフな競技の中で、圧倒的に多勢なのは走行性能や耐久性など、トータルに優れるポルシェであった。

2019年6月2日、日曜日。休日の朝のパリは思いのほか静かだった。ルーブル美術館にほど近いヴァンドーム広場には、約100台のクラシックスポーツカーが集まっていた。2019年で20回目の開催を数えるRallye des Princesses、文字通り「王女様のラリー」である。毎年少しずつコースが工夫されるが、今回はパリをスタートし、毎日約300㎞〜400㎞の距離をを5日間走り続け、最終的にプロヴァンス地方の景勝地サントロペを目指すというルートである。


 
普通のイメージでいえば、女性が優雅にハンドルを握り、おだやかな天候の下、おとなしく緩やかにアクセルを踏むといったところだろう。だが実際のところは、まったく異なる。フランスにおける一般道の制限速度は80㎞/h。さすがに学校付近や市街地では30km/h、50km/hと細かく速度規制がしっかりと施されるものの、それ以外はタイトコーナーが続く崖っぷちの細道だろうが、アップダウンの激しい農道だろうが、ほぼ車の性能を思い切り発揮させながら激しく攻めてばかり。ランナバウト(フランスではボンポワン)という円周型の交差点ばかりで信号機はよほどの市街でない限りお見かけしない。つまりランチタイム以外はほぼノンストップでぶっ飛ばし続けるのだ。
 


このイベントの主催であるザニロリ・ファミリー。スタート&ゴールでフラッグを振るのはマダム・ヴィヴィアン・ザニロリ。このラリーに参加するすべてのエントラントの、ある意味姉であり母である。彼女の包容力がこの特別な企画を長く続けてこられた勝因のすべてともいえる。そして、このラリーを決してお遊びにしなかったのは夫であるパトリック・ザニロリの貢献。彼はダカールラリーを12年も統括してきた猛者である。アマチュアとはいえ、いい加減なプロモートをすることなど考えるはずもなく、本格的なラリーを息子のトムと一緒に組み立ててきたのだ。


 
参加者の出身国はフランスだけでなくベルギーやイタリア、UKのほか北米、日本などさまざま。トータル99台の出走車両のうち、ポルシェはなんと29台。全参加車両のうち、ほぼ1/3がポルシェということになる。そのうちメインスポンサーであるRICHARD MILLEの招待参加者等が乗る356系が11台。それ以外は356スピードスター、ナロータルガ、ビッグバンパーのSC、914、RUFに至るまで、とてもユニークな顔ぶれとなっている。轍のきついあぜ道でジャガーEタイプのセンターマフラーが脱落したり、14%の勾配ではルノー・カラヴェルなどが立ち往生するなか、すべてのポルシェ勢はほとんどトラブルもなくより一層元気に、しかも明るい笑顔をふりまいて初夏のフランスを走り抜けていった。

文:オクタン編集部 写真:櫻井朋成 Words: Octane Japan Photography: Tomonari SAKURAI

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