北欧生まれの性能を八甲田山の麓でテスト!ボルボ V60 T8 ポールスター・エンジニアード

Photography:Ryota SATO



一方、郊外に向けて舵を切ったとたん、この車がスポーティな走りのためにしつけられたことが体感できるのも面白い。郊外の流れのいい道では、リアへの荷重を重視していることもあって、2335kgと重量級のボディをパワフルにゆったりと押し出すような余裕のある走りっぷりだ。 ワインディングロードに連れ出すと、全長×全幅×全高=4760×1850×1435mmのスリーサイズから想像するより、思いの外、軽やかな身のこなしに驚く。フロントに46ps、リアに87ps/240Nmを生む電気モーターを搭載しており、2リッターエンジンとの組み合わせにより、最高出力333ps/最大トルク430Nmを発揮する。



同時に、前後の電気モーターが適切にトルクを発揮することもあって、コーナリング時に安定した姿勢を保てるのだ。ポールスターエンジニアード専用となるオーリンズ製DFVダンパーを備えている点も特筆すべきだ。ある程度のロールを許容しながらも、入力をしっかりと収束させてくれる。スポーティな走りに十分に対応すると同時に、日常的な走行シーンでの乗り心地も十分に担保されている。足元に目を向けると、6ピストンのブレンボ製ブレーキキャリパーとベンチレーテッドディスクブレーキを採用し、235/40/R19とハイトの低いタイヤを履くが、こちらも突き上げられる感覚はほとんどない。



走行モードのうち、ポールスターエンジニアードモードを選べば、アクセル、ステアリング、トランスミッションの応答性が高まり、ESCもスポーツモードとなり、リア寄りのトルク配分を行う。スタッドレスタイヤを履いた状態ゆえに、走行性能の評価を下すのは早計だが、なかなかの実力があるだろうことは想像させる。

今回、八甲田山の麓というテストステージだったこともあって、雪道でも十分に試すことができた。PHVモデルとして開発されたSPAなる新型プラットフォームでは、リアの電気モーターがオンデマンドでアシストする電動4WDを採用している。それもあって、悪路走破性に疑問を持つ声もあるが、実際に雪上を走ってみて、その心配はほぼないと断言できる。重量級ボディということもあって、下り坂では後輪が滑るシーンがあるのは否めないが、ステアリングホイールに伝わってくるインフォメーションが豊かで、全域でコントロールブルな印象だ。SPAプラットフォームでは、重量物であるリチウムイオン電池を車両の中央に配置して、ボディ剛性も強化していることなどが、ドライ路面ではもちろん、雪上での運動性能にも良い影響が現れている。



ウェブサイトでの記事とはいえ、与えられた紙幅では魅力を伝え切れないのが残念だが、ネットでの限定販売で900万円を超えるプライスタグを掲げているにもかかわらず、応募開始から1時間以下で完売だったという事実も含めて、”いい仕事をしている”車といえるだろう。


文:川端由美  写真:佐藤亮太


V60 T8 ポールスター・エンジニアード
ボディサイズ:4760×1850×1435mm
ホイールベース:2870mm
車両重量:2050kg
排気量:1968cc
エンジン:直列4気筒DOHCターボ(333ps/6000rpm、430Nm/4500rpm)+モーター(フロント22kwW/リア28kW、フロント160Nm/リア240Nm)
変速機:8段AT
駆動方式:4WD
車両価格:919万円


https://www.volvocars.com/jp

文:川端由美 写真:佐藤亮太

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