マツダ ロードスター レストア完成5号車が再びオーナーのもとへ

octane Japan




これは"NA ロードスター レストアサービス"において共通することなのだが、入庫前にはチェックが行われる。第一に行われるチェックは、どこを直すべきかではなくてレストアできる対象であるかということ。現在は以下のような車両のみをレストア可能として受け入れている。

「NA6、5段 MT車、グレードはスタンダード、スペシャルパッケージ、Vスペシャル、Jリミテッドのいずれか」サビが激しい車両や、改造車、大きな事故を起こした歴のあるものも対象外となる。実際に、申し込みが来ても断らなければならない事例は少なくなかったそうだ。これは、マツダがそのような車両を拒否しているということを意味しているのではなく、今持っている技術やパーツラインで最上のレストアを施すには、以上のような線引きをしなければならない、苦渋の判断のうえで決められている基準だ。


板垣さんのロードスターは無事に審査を通り、マツダ R&Dセンター横浜で寸法を測りボディの歪みなどをチェック。入庫したのは8月で、約3ヵ月にもおよぶレストアを終えたのだ。そのレストアの工程は、Before - Afterですべて記念ブックレットに収められ、チェックした箇所の数値なども記録されている。オーナーにとっては永久保存版だ。

当初の予定としては、1台あたり2ヵ月の期間を考えていたが、レストアの工程において思わぬトラブルが生じるのは付きもの。パーツが無かったり、思わぬところにサビや穴があったりなどで、思い通りにはいかないものだということをレストアを通じて身を持って学んでいる、と山本氏は話した

このサービスにおいて特徴的なのは、残っているパーツを残してレストアするのではなく、パーツがあるものは新品に換えてアップデートしながら行うという面だ。そのため、新車のような乗り心地や見た目になる。海外のレストアでは、可能な限りパーツを残していく方針がメインだが、それではコストの問題も出るのだ。それをマツダでは、持っているものを最大限に活用している。



ロードスターの登録台数が毎年300台ほど減っているという寂しい現状に対して、マツダではパーツがあり直していけるのだということをユーザーに知ってもらうため、NA ロードスター 復刻パーツの販売も行っている。このようなサービスが古い車文化を盛り上げてくれる存在となりえる。



山本氏はこのレストアプロジェクトを行うにあたり、海外でも数々のショップやミュージアムへ訪問をしてきたという。そして、「いつかはあのような姿を目指したい、時代を超えて車を愛してやまない方たちと一緒に、NAロードスターのある人生の楽しさを追求していきたい」と感じたのだ。

また、「決して利益を求めてこのプロジェクトを行っているわけではない。純粋に長くロードスターを乗ってもらいたい、古い車を大切にする文化に貢献したい、という想いだけで日々進んでいます。今はまだマツダではできないこともたくさんあり、悔しく思います。お客様から車を受け取った時、完成した時に実際に運転して、フィーリングをちゃんと伝えられる人間が必要なのです。次の世代に技術や想いを受け継いでいくことも大切です」と語った。

今後はNA8もレストア対象としていきたいとのことで、マツダだからこそのレストアがどのように進化していくのか、日本のクラシックカー文化はどのように発展していくのか、期待と希望を感じられたものであった。

オクタン日本版編集部

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