アストンマーティン110周年を記念した一大イベント「ARCADIA TOKYO 2023」が盛大に開催

Aston Martin

11月17〜19日の3日間、東京・浅草の浅草寺と富士スピードウェイを舞台に「ASTON MARTIN ARCADIA TOKYO 2023」が開催された。ARCADIA(アルカディア)は、古代ギリシャで“楽園”を意味していた言葉。いわばアストンマーティン・ファンにとっての楽園が、このイベントだったことになる。

アストンマーティン・アルカディアは今年が初開催。今後はアジアパシフィック域内で2年に1度のペースで行われる計画というが、そもそも、なぜ今年、それも日本でアルカディアは初開催されたのだろうか? 日本と韓国を担当するアストンマーティンのリージョナルプレジデントであるグレッグ・アダムスは、その理由を次のように説明した。



「今年初開催となったのはアストンマーティンが設立110周年を迎えたから。そして日本で開催されたのは、アジア・パシフィックで最大の市場が日本だからです。私自身も日本で開催することを強く望んだひとりです」

流暢な日本語を話すアダムスはいくつもの日本法人に勤務した経験を持ち、現在も日本に在住する親日家として知られている。

3日間のイベントは、浅草寺でのコンクール・デレガンスで幕を開けた。本堂脇の通路から奥の広場までのスペースに展示されたアストンマーティンの数は70台以上。それも、ヴァンテージやDBXといった現行モデルだけでなく、今回がアジアパシフィック地域初公開となったDB12 ヴォランテやヴァラー(VALOUR)などの最新モデル、アストンマーティンF1マシン(レプリカ)、戦後アストンマーティンのオーナーとなったデイヴィドブラウン社のトラクター“995”、さらにはアストンマーティンの知名度を一気に高めるきっかけを作ったDB5やDB6などが勢揃いしていたのである。







さらに私たちを驚かせたのがタイプC、ル・マン、そしてインターナショナルといった戦前のモデルが姿を見せていたこと。とりわけマニアの注目を集めたのがタイプCで、「こんな車が日本にあるとは知らなかった!」という声が多く聞かれた。

アストンマーティン タイプC 

そしてスティーヴ・ワディンガム(審査委員長。アストンマーティン・ラゴンダ社 ヒストリア)、ギャリー・テイラー(アストンマーティン ヘリテージトラスト)、中村史郎(デザイナー)、奥山清行(デザイナー)、堀江史朗(オクタン日本版 編集長)の5名が審査委員を務めたコンクール・デレガンスの結果は18日に発表され、タイプCが“ベスト・イン・ショー”を受賞。ル・マンがレストレーションクラスを、そしてインターナショナルが1923-1933クラスを制するという結果となった。



コンクール・デレガンスの審査中のひとこま。車両に関するエピソードをオーナーから聞く審査員一同。

なお、浅草寺の境内で自動車関連のイベントが開かれるのは、およそ1400年前の建立以来、これが初めてのことという。



コンクール・デレガンス終了後には東京都内でアストンマーティン・オーナーズパレードを実施。アジア・パシフィック地域では最多となるおよそ50台が参加し、一部は翌日に開催されたアストンマーティン・トラックデイに参加するため、そのまま富士スピードウェイを目指した。





快晴に恵まれた翌日のトラックデイは、参加車がホームストレート上に整列してのオープニングセレモニーで幕を開けると、ヘリテージカーによるサーキット走行、プロドライバーが操るDBX707にゲストが同乗走行するホットラップなどが行われたほか、ヴァルキリーAMRプロやヴァルカンといったサーキット専用モデルのデモンストレーションランなどを実施。この日もパドックにはアストンマーティンの現行モデルや往年のDBシリーズが多数参加し、その総数は110台を超えたという。








長い歴史を通じ、これまでに何度もオーナーシップが入れ替わってきたアストンマーティンは、時代によってモデルの立ち位置やキャラクターが大きく異なっており、それゆえにオーナー層もモデルの世代を越えての交流はあまりなかったように思える。しかし、今回のイベントでは、アストンマーティンの正規ディーラーが顧客に声をかけるとともに、アストンマーティンも国内オーナーズクラブに協力を仰いだことから、戦前のモデルから最新モデルまでが一堂に会するイベントとなった。その意味では、創立110周年を祝福するのに相応しいイベントだったといえる。



なお、今回のアルカディアにはオーストラリアなどアジア・パシフィック地域から多くのファンが“自費”で来日したほか、シンガポールや韓国のメディアも取材に訪れ、イベントに国際的な彩りを添えていたことも印象的だった。


文:大谷達也 写真:アストンマーティン、オクタン日本版編集部
Words: Tatsuya OTANI Photography: Aston Martin, Octane Japan

大谷達也

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