SUPER METEOR 650|それはまさにツーリング好きのための一台だ

Takamitsu MASUI

イギリスで生まれ、インドで育ったロイヤルエンフィールド。120年の歴史を持つブランドの最新モデルが「SUPER METEOR 650」だ。



バイクで旅に出る。なにも冒険なんてする必要はない。1ヶ月も放浪する必要だってない。いつもの週末、または今度の連休に合わせて3日ほど、生活環境から離れる。バイクでの旅は、ただそれだけを目的にした方が良い。そしてロイヤルエンフィールド(以下RE)の新型車「SUPERMETEOR650(スーパーメテオ・ロクゴーマル)」は、そんなバイク旅にピッタリのモデルだ。



かつて“アメリカン”と呼ばれたクルーザーモデルは、アメリカンであるが故に、アメリカンブランドとそれに乗るライダーたち、それらが登場する映画やメディアが造り上げたステレオタイプなカタチとメカニズムで語られてきた。しかし長い距離をゆったりと走る=クルーズするためのバイクのカタチやメカニズムは様々であり、1901年にイギリスで生まれたREもクルーズするためのバイクを古くから造り続けてきた。

REは1950年代半ばにCKD(コンプリート・ノック・ダウン)モデルの生産をインドで開始して以来、インド人ライダーにとって掛け替えのないバイクブランドとなった。現在はインドのトラック大手/アイシャー・モーターズ・リミテッドの傘下で、年間2000万台という巨大なインド市場を牽引するトップブランドのひとつにまで成長した。

そのロイヤルエンフィールドは 1953年に「SUPERMETEOR」を発表。英国で開発し、北米大陸に輸出されたそのモデルは、スチールパイプ製の専用フレームにキャンバス製バッグをセットアップした、最新ツーリングモデルには欠かせないサイドパニアケースの元となる、ツーリング用リアバッグをすでに採用。「SUPER METEOR」の名は、生まれたときからライダーを遠くに快適に連れ出す相棒として存在していたのだ。

またREは、1950年代から並列2気筒エンジンを搭載したモデルを市場に投入している。アメリカンブランドが採用するV型2気筒エンジンに比べ、出力特性が穏やかで振動が少ない並列2気筒エンジンは、長時間ライディングするツアラーにはピッタリのエンジンと言える。そして新型「SUPERMETEOR650」のために開発した新型フレームは、日本のサスペンションブランドSHOWA製前後サスペンションと合わせ、ネイキッドバイクのように軽快に走る。

ロイヤルエンフィールドは現在、350cc単気筒エンジンと、411cc単気筒エンジン、そして650cc並列2気筒エンジンを搭載するモデルブラットフォームを持つ。「SUPER METEOR650」は、その2気筒プラットフォームの中でも、豪華な装備を採用するフラッグシップモデルとなる。エンジンは他の2気筒モデルと同じながら出力特性をモデルキャラクターに合わせて変更。

いま世界の大半のメーカーが世に送り出すクルーザーモデル群は、排気量2000ccに迫る大排気量エンジンと、その巨大な動力源を抱えるフレームによって大型化している。それらは驚くほどよく走るが、よほどの手練れで無い限りスロットルのフルオープンにはとまどうだろう。対して「SUPER METEOR650」は、エンジンの排気量もその車体の大きさも、そして軽快さも、世界のクルーザートレンドの対極にある。しかし、それで良いのだ。バイクの旅に、虚勢は必要ないからだ。







フレームのほか、スイッチ類やレバー類も専用設計となる。

バイクに乗り、街や山に出ればいろんなことに気がつくだろう。歩いたり、電車やクルマに乗ったりして通るいつもの道も、ちょっと違って見えるだろう。バイクは、それらと目線の高さや速度が違うから当然だ。でも何より大きな気づきは、景色や空気の中に様々なディテールがあることだ。

そのことについて、REの車体設計の責任者であるマーク・ウェルズが「SUPER METEOR650」のプレスカンファレンスでこう語っている。

「バイクで走れば、街や山や海辺には、温度や湿度やニオイが違う空気の層が重りあっていることを知る。そんな彩り豊かな景色と空気のなかを走る感覚は、バイクでしか得ることができない体験だ。そして長い距離を走るクルージングは、それをより多くの場面で感じることができる。その景色と一体になる感覚こそが、クルージングの醍醐味だ」と。

クルーザーである「SUPER METEOR650」は、そんな醍醐味を気軽に得ることができるモデルである。バイクで走り出すには、これ以上無い理由と言えるだろう。


文:河野正士 写真:増井貴光 Words:Tadashi KONO Photography:Takamitsu MASUI

文:河野正士

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事