大塚ローテックの機械式腕時計「7.5号」が国立科学博物館で保存へ

OTSUKA LOTEC

「カッコいい車に憧れて」デザイン学校を卒業後に自動車デザインの仕事に就いたというウォッチビルダー 片山次朗氏。その後プロダクトデザイナーとして独立した彼は、乗り物やヘルメット、家電製品などのデザインに携わった。

そんな中、たまたま手に入れた卓上旋盤で、見様見真似で金属加工を始める。想像以上に楽しくなってきたが、自宅台所に置いてある旋盤で車を作ることはできない。「そうだ、腕時計のケースを作ってみようかな」と思い立ち、時計作りを始めたのが今から15年ほど前の2008年頃、30代半ばであった。



次第に時計の魅力に取りつかれた片山氏は、日々プロダクトデザイナーという本業をこなす傍ら、黙々と機械加工の本を読み始める。世界の独立時計師の素晴らしい作品を見つけては、その部品、機構、工具、手法などを独自に調べ真似しながら、いくつかの腕時計を完成させていった。そして2012年に東京・大塚で時計ブランド「大塚ローテック」を創業し販売を始めるまでになった。



そんな彼が手掛けたのが機械式腕時計「7.5号」が、技術的価値を認められ、国立科学博物館で保存されることが決定した。国立科学博物館の研究関連組織のひとつで、日本の科学技術に関する資料の調査、保存および研究を行い、3万点超のコレクションを保有する理工学研究部の科学・技術史資料として保存される。理工学研究部の民生用時計の資料受入は、令和初であるという。



7.5号は時が正時になると一瞬で数字が切り替わるジャンピングアワーウォッチであり、ケース上面の3つの窓はそれぞれ時分秒を表している。片山氏が設計し、自身の指揮のもと組立を行っており、時計のエンジンにあたるムーブメントは国産のMIYOTA製ムーブメント82S5をベースに自社製モジュールを付加。自社製モジュールは歯車やバネなど約30点の部品で構成される。7.5号は2021年に誕生したが、今回、国立科学博物館で保存されるのは2023年製造の現行仕様品だ。

片山氏は「後世の人にも『面白い時計を作っていた人がいた』と思ってもらえれば嬉しい」とコメントしている。

大塚ローテック 7.5号 製品詳細
<機能>
ジャンピングアワー、分ディスク、秒ディスク
駆動方式:自動巻
<ムーブメント>
MIYOTA82S5+自社製ジャンピングアワーモジュール
(自動巻、24石、毎時21600振動、パワーリザーブ約40時間)
<ケース>
ケース径:40mm
ケース厚:11.2mm(最大部14.8mm)
素材:ステンレススチール(316L)
ケース仕上げ:ヘアライン仕上げ、サンドブラスト仕上げ
ケースバック:シースルーバック
防水性:日常生活防水
<風防>
サファイアクリスタルガラス(無反射コーティング、指紋防止コーティング)
サファイアクリスタル製魚眼レンズ(無反射コーティング、指紋防止コーティング)

オクタン日本版編集部

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