ランボルギーニ新時代の幕開け!フラッグシップのレヴエルトが日本初公開

Lamborghini

ランボルギーニ創立60周年のトピックの中でもまさに”真打ち”たるニューモデル、レヴエルトのローンチが行われた。東京の会場には400GTからアヴェンタドール ウルティメまで歴代のV12フラッグシップが並び、新世代の幕開けとなるモデルの門出を祝っているかのようなきらびやかさであった。



会場に展示された歴代V12モデルたち。右から400GT、ミウラP400、カウンタックLP400

右からディアブロ6.0VT、ムルシエラゴLP640-4、アヴェンタドールウルティメ

このレヴエルトは単なるニューモデル以上の意味を持つ一台だ。彼らが謳うところの「Cor Tauri(コル・タウリ)戦略」におけるメインステージたる「ハイブリッドへの移行」へのトップバッターとなる。2023年にハイブリッドシリーズ初となるモデル=レヴエルトを発表し、2024年末までに全車を電動化するという流れを鑑みればこのモデルの重要性が理解できるであろう。

「レヴエルトはランボルギーニの新しいアイコンであるV12自然吸気エンジンを採用したフラッグシップです。しかしヘリテージをベースに私達はチャレンジし、新しいトレンドを作らなければなりません。コル・タウリ戦略に従って、CO2 排出量を削減し、環境に充分な配慮を払ったハイブリッドプラグインHPEVとして誕生したのがレヴエルトなのです。もちろん、最高のパフォーマンスをご提供します。主人公であるドライバーの皆さんとマシンが一体化してドライビングを最大限に楽しむことができるよう、幾つもの革新的システムを採用しました」というダヴィデ・スフレコラ ランボルギーニジャパンCEOのメッセージと共にレヴエルトはアンヴェイルされた。

ダヴィデ・スフレコラ ランボルギーニジャパンCEO

レヴエルトはカウンタックをDNAとするワンモーションフォルムを引き継いでいる。ドライバーの着座位置を前方へオフセットし、ボディラインがなめらかな一筆書きで描かれる低く幅広いシェイプだ。



アヴェンタドールと比較するなら、電動化に関する多数のデバイスを搭載し、中身が“詰まって”いるにもかかわらず、レヴエルトはコンパクトな印象を受ける。事実、全幅は広がってはいるもの、全長はアヴェンタドールウルテメ比で約8cm短くなっている。しかし、ホイールベースは逆にこれも約8cm長くなっているのだ。つまり全体のプロモーションはかなり変わっていることに注目したい。



これは、カウンタック以来伝統でもあったトランスミッションがキャビン側に位置するという、通常とは前後逆のパワートレインレイアウトを脱却したことが大きな要因となる。「これまで用いてきた伝統のレイアウトは私達のDNAのひとつでもありますが、電動化やコンパクトなDCTギアボックスを横置きすることなどで、今回、より効率的なソリューションを私達は生み出しました」とレヴエルトのプロダクト開発ディレクターのマッテオ・オルテンツィは語る。新たなレイアウトでは、エンジンは通常の向きに戻され、その後ろに電気モーターと一体化されたコンパクトなトランスミッションが横置きされる。このレイアウトの採用によってエンジンの前後長は大きく短縮された。

インタビューに答えてくれたプロダクト開発ディレクターのマッテオ・オルテンツィ氏

確かに”あの”レイアウトは今から50年以上も前に、横置きレイアウト=ミウラのウィークポイントであったシフト・リンケージやエンジン調整に関する最適化の難しさなどを解決するため、パオロ・スタンツァーニが開発したものだ。運動性能を高めることを目的にショートホイールベース化するためにもそれは有効であった。しかし、今や技術的進歩でこれらの問題も充分に解決できるような時代となっている。一昔前なら、全長5mもある車に1000馬力以上のエンジンを搭載するなど考えられなかったワケだが…

このレイアウト変更によってたくさんのメリットが誕生した。そのひとつはキャビンの快適性向上だ。アヴェンタドールではドア後部とリアバルクヘッドの間にはほとんど空間がなかったが、レヴエルトではそこにゴルフバッグが入るほどのスペースがある。外から見ればドアウィンドウの後ろにダミーではなく本当のガラス製のウィンドウがあることがその証だ。シートの後ろに荷物を置くこともできるし、車内高もアヴェンタドール比でかなりの余裕がある。フロントには2つの電気モーターやインバーターがぎっしりと詰まっているのもかかわらず、機内持ち込みサイズのトロリーが2個収納可能というから、日常的な仕様に不便はないであろう。





「トランスミッションもコンパクトなだけでなく、迅速なタイムラグの少ないシフトを実現しています。それだけではありません。日常使用を充分に考慮し、電気モーターとのコンビネーションでよりスムーズなシフト動作が完結するように、万全のチューニングを行っています。そしてこのドアを開けたサイドシルを見てください。このスリムなサイドシルとシザーズドアの組み合わせによってキャビンへの乗降性も完璧です」とマッテオ。



ランボルギーニには自社で多様な複合素材の開発、製造を社内で早くから行ってきたという重要なDNAも持ち合わせている。今回のレヴエルトでは”monofuselage"と称す、多種の複合素材を組み合わせた新型シャシーをゼロから開発している。その高剛性さや、徹底した軽量化というポイント以外にも、エンジンレイアウトの自由度やスペースユーティリティに優れたキャビン設計などを妥協することなく作り上げることに貢献している。

パワートレインは新設計の自然吸気V12エンジン。当初はターボエンジンなど様々なタイプが検討されたということだが、ランボルギーニの重要なDNAであるという観点や、エグゾーストノートのチューニングといった要因から自然吸気仕様に決定されたという。少量生産枠としてユーロ7にも当面は適応されるというから、伝統のV12が当面は存続する。これはうれしいニュースだ。「エグゾーストノートには拘りました。自信あります!」というマッテオのメッセージも付け加えておこう。



このV12エンジンに前後3つの電気モーターが加わり、これまでトランスミッションが位置したセンタートンネルにバッテリーが搭載される。システム最高出力は何と1015HPとなる。これらシステムはランボルギーニ独自の開発で、グループ内他ブランドの流用ではないということだ。センタートンネルに搭載されるバッテリーはかなり小ぶりなものであることからも、このプラグインハイブリッドシステムはパフォーマンス指向であり、CO2輩出量へのレギュレーション対応が目的であることは明らかだ。であるから、この電動AWDシステムはバッテリーのみで走行可能な距離は10kmに留まるという。

今回はデザインチーフのミティア・ボルケルトもローンチイベントに登場した。顧客を招いてのパーティーではいつものようにテーピングなどでレヴエルトのスタイリングの魅力を生で伝える“伝道師”の大役を果たしていた。「このモデルは私がランボルギーニの量産モデルとしてはじめてゼロから手がけた“ベビー”なのです。とにかく皆、笑顔で楽しみながら作りあげました。ランボルギーニらしい、そしてレヴエルトらしいデザインに拘りました。いろいろなところに拘りがあるから、ランボルギーニ・ファンの皆さんはそれを見つけてくださいね」とミティア。

デザインチーフのミティア・ボルケルト氏

時代の節目に万全を期して登場したフラッグシップ レヴエルト。その中身はとてつもなく濃いようだ。“ここまでやるか、ランボルギーニ”というのが率直なところの私の感想である。


文:越湖信一 写真:ランボルギーニ
Words: Shinichi EKKO Photography: Lamborghini

文:越湖信一

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