パワートレーンに続き、ランボルギーニ次期型フラッグシップの「骨格」が明らかに!

Automobili Lamborghini S.p.A.

前回、ランボルギーニの次期型フラッグシップモデルLB744の驚異的なプラグインハイブリッドパワートレーンの概要をリポートした。速報第二弾の今回はそのスペックを如何なく発揮させるための基本骨格=ボディ構造についての詳細が明らかにされたので報告しよう。加えて筆者は3月上旬に増床改装されたサンターガタ本社のCFK(カーボンファイバーコンポジット、独語イニシャル)工場にも訪問し、その実物と生産工程を取材したので併せてお知らせする。

まだその名の知れぬ新型モデルLB744の骨格は、もちろん、先代アヴェンタドールと同様に基本的にはCFRP(炭素繊維強化樹脂、いわゆるカーボン)製モノコック構造を採る。ただし、更なる軽量化と高剛性を目指して複数のCFRP成型法を使った全く新しくユニークなデザインの構造体を組み合わせたことと、市販の量産ロードカーとしては初めてフロントサブフレームに高剛性衝撃吸収性に優れたCFRPを採用したことの二点でまるで違っている。リアのサブフレームは従来通りアルミニウム製とした。





ランボルギーニはこの新しいモノコックボディを特に“Monofuselage(=単胴体)”と名付けた。ボディ骨格には主に3種類の成型方法によるCFRPが使われているが、最も多くを占める(50%以上)のがランボルギーニお得意のフォージド(鍛造)カーボンで、これは細かな炭素繊維を樹脂に混ぜホットプレス(5000トン級)し成型するもの。この成型方法で自社生産されているのはメインのバスタブ、フロントファイアウォール、フロントサブフレーム、アンダーパネルなどだ。

伝統的なハンドレイアップ・プリプレグ成型(いわゆるドライカーボン)はピラーからルーフにかけて、つまり軽量かつ頑丈であると同時にクラスA表面クォリティの必要な部分に使われる。ここが最も手間ひまのかかる部位であることは間違いない(つまり生産のボトルネック)。





最も革新的でユニークに見えたのはRTM(レジン・トランスファー・モールディング)成型で生産された“ロッカーリング”と呼ばれる構造物だった。フロントサブフレームの接合部分から両サイドシルをぐるりとリング状に一体成型したデザインで、その中にすっぽりと鍛造カーボンのバスタブがハマる仕掛けになっている。いかにも頑丈そうだ。



ちなみにこの部分のみサプライヤーから供給を受けるが、そのほかの成型部品、つまりプリプレグとRTM、そして新たに自動レイアップのプリプレグ・ホットプレスによる各パーツは、アヴェンタドール生産時に建設された自社専用のCFK工場にて生産される。そのため旧来に比べてCFK工場はおよそ1.5倍の規模に拡張されている。改装されたCFK工場はほとんど航空機の機体製造現場の様相を呈していた。

モノコックボディと前後サブフレームの総重量はアヴェンタドール用に比べて10%軽く(特にフロントサブフレームはアルミからカーボンになって二割も軽くなった)、そして捻り剛性は25%もアップしているという。



そのダイナミックパフォーマンスが大いに期待できるパワートレーンとボディ骨格をLB744は手に入れたと言っていい。


文:西川 淳 写真:ランボルギーニ
Words: Jun NISHIKAWA Images: Automobili Lamborghini S.p.A.

西川 淳

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