後部座席にひみつのスイッチ !?|エリザベス女王が公務で使用したランドローバー

Bonhams

イギリス国王チャールズ3世の戴冠式を来月に控え、46年前に故エリザベス2世が在位中に使用していた特別な車がボナムスのGoodwood Members' Meetingオークションに出品されることとなった。

この車は1968年製のランドローバーシリーズIIA 109 4X4で、1977年に故エリザベス女王とフィリップ皇太子殿下が北アイルランドでシルバー・ジュビリー・ツアーを行った際に「セレモニアル・ヴィークル」に改造され使用された。

このツアーでは、ロイヤルクーペは合計36の郡を訪問し、北アイルランドのヒルズボロとコールレーンへの2日間の訪問で締められた。



このシリーズIIAランドローバーは、もともと国防省の依頼で作られたものだった。その依頼に基づき、ワークショップREME(英国王立電気機械技師)に送られ、王室の任務を遂行するための特別なコーチワークが施された。

2.25リッターのガソリンエンジンを搭載し、クラシックなランドローバーのロングホイールベースバージョンをベースに、後部座席のプラットフォームを高くし、屋根をカットしている。



最も目を引く改造は、バイザースタイルのラップアラウンドガラスパネルだろう。何かアクシデントがあった時に故陛下を保護できるようになっている。後部のゲート付きダブルドアは、低くなる伸縮式のステップを経由して簡単に乗り降りすることができる。後部の台には、ソファスタイルの座席が配置されており、公務中の快適性が高められていることが伺えるだろう。

そして特注のインテリアには、「トラフィックライト」システムのボタンがある。これは女王が観衆に手を振るために車を停止、発進、減速させたい場合、ドライバーに密かに伝えることができるようになっている。

リアにあるコントロールパネルを使い、3つのボタンのうち1つを押すと、ステアリングホイールの後ろにある同様のパネルを通して、女王のリクエストがドライバーに伝えられる仕組みになっているのだ。



元々、軍用プレートに「00 FG 28」というナンバーで登録されたこの車両は、1983年4月にラディントンで競売にかけられるまで、国防省に保管されていた。落札者はこのランドローバーをプライベートコレクションとして保管していたのだが、2017年9月に現在のベンダーであるマトソンマーティン家に買い取られ、チェルムスフォードのバドー・パーク・エステートにある彼らのコレクションの中心的な存在となった。

マトソンマーティン家が所有してからは、グッドウッド・リヴァイヴァルにも何度か登場し、グッドウッドホテルとサーキット間のゲストの移動に使用されたこともある。整備は毎年行われ、点検はコレクションの他の車両と同様、6カ月ごとに行われた。



そしてこの車両にはV5C(イギリスの車両登録証明書)とロイヤル・スタンダード王旗が付属している。

ボナムズ・コレクター・カーズ・UKの部門長であるティム・スコフィールドは、
「チャールズ3世陛下の戴冠式が間近に迫る中、彼の母君のシルバー・ジュビリーに重要な役割を果たしたこの歴史的車両をグッドウッドで展示できることを嬉しく思います。エリザベス女王とエディンバラ公は、ともにランドローバーというブランドと永続的な関わりを持っており、この車は王室の記念品を想起させるものです」
と述べている。



この車は今月末にはハンマーにかけられる予定で、推定落札価格は約980万円から1,470万円とされている。

オクタン日本版編集部

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