キャビン内をあえてアナログにした理由は?|ゴードン・マレーの新型T.33を徹底解説!

Gordon Murray Automotive



ホイールとタイヤ

T.33は、ユニークで非常に軽い鍛造アルミニウム合金製フロント19インチと20インチのリアホイールを備えており、1本あたり7kgを切っている。このホイールには、ミシュランのパイロット・スポーツ4 Sタイヤ(フロント235/35 R19、リア295/30 R20)が装着される。ミシュラン4 Sタイヤは、オールラウンドな性能と、オーダーメイドタイヤよりも大幅に低い交換コストを実現した。またT.33は車重が軽いため、従来のスーパーカーが必要とするタイヤよりも小さく幅も狭いタイヤを装着できることも、軽量化に寄与している。



T.33は、T.50やT.50sと同様、ドライビングエクスペリエンスに特化したモデルだ。高い触感と深い没入感を与え、ドライバーをより高い次元に導くために設計された。もちろん、安全性や、天候に左右されない日常的な使い勝手も重要だ。トラクションとスタビリティ・システムは、ドライビング・エクスペリエンスを損なわないよう慎重に調整されているが、いざというときに自信を与えてくれるものだ。

エアロダイナミクス

2020年に発売されたGMA T.50は、リアに搭載された独自のファンがもたらした、ロードカー史上最も高度で効果的といわれるエアロダイナミクスによって、スーパーカーのルールブックを塗り替えた。今度は、同じく革新的なT.33が、ロードカーのグランドエフェクトエアロダイナミクスの新時代を切り開く番だ。 今回はリアファンを搭載していないが、T.50プロジェクトで得られた多くの教訓を活かし、ゴードン・マレーとそのチームはT.33のパッシブ境界層制御(PBLC)システムで再びレベルを引き上げた。

フロントにはグランドエフェクトインテークを設け、床下に空気を送り込む。車体後方のベースサクションによって作動する境界層除去ダクト付きディフューザーによって、従来のグランドエフェクト・スーパーカーよりも30%高いレベルの空力効率を実現している。



PBLCシステムによるグランドエフェクト・ダイナミクスによって、ゴードン・マレーと彼のデザインチームは、T.33に不必要なウィングやスカート、ベントを装備する必要性から解放されたのである。唯一の例外はアクティブリアスポイラーで、これは自動的に展開されるが、ドライバーが作動させることもできる。このリアスポイラーは、ハイダウンフォースモードでダウンフォースを増大させ、エアロ強化ブレーキ機能も備えている。



境界層制御は、車の上部と下部の気流の最も効果的な相互作用を保証し、ドラッグ、ダウンフォース、およびすべての速度での安定性を調和させ、積極的なフロントエンド空力デバイスの必要性を否定するものである。

RAMインダクションエアボックスは、エンジンに直接取り付けられ、シャシーから分離されているのが特徴だ。

インテリア

最近のスーパーカーのキャビンには、大きなタッチスクリーンと多くのスイッチ類が装備されていることが多い。T.33では、それによって混乱と注意散漫が引き起こされることがないように配慮されている。キャビンには、タッチスクリーンは一切なく、デザインはとてもシンプルだ。エクステリアと同様、必要なものしか搭載せず、ドライビングエクスペリエンスを損なう恐れがあるものは、開発プログラムから削除された。コラムストークもなく、インジケーターはカーボンファイバー製ステアリングホイールの水平スポークにあるサムボタンで操作する。



T.33のキャビンは、T.50と同様、ドライバーのことを第一に考え、美しさに回帰している。 主要な操作系はすべて回転式でアナログだが、Apple CarPlayとAndroid Autoは標準装備されているという。

美しいデザインのフラッドライト付き120mm径レブカウンターも、エアロ、ライト、エアコン、HMIなど、ドライバーを中心としたコントロールと同様に、華麗かつ大胆なアナログ式だ。すべてのプライマリーおよびセカンダリーコントロールは、最高品質のアルミニウム合金から削り出された。ペダルはアルミ合金製で、強度と軽さを両立したものだ。

さらに、T.33のピュアなドライバー志向は、ユニークなカーボン製ステアリングホイールや、GMD特許のハニカムカーボン構造を採用したマルチアジャスタブルiStreamカーボンシートで確認することができる。また、フロントの収納スペースと両サイドのラゲッジロッカーは合計280リットルで、6つのケースを収納することができ、大陸を横断するような冒険にも対応できる実用的なモデルとなっている。



ゴードン・マレー教授は次のようにコメントしている。
「このプロジェクトの初日から、私たちは完璧なドライビングを提供することにフォーカスしました。 スーパーカーの心臓と魂はエンジンかもしれませんが、キャビンとその操作は、ドライバーとエンジンやその他の車の特性を直接繋ぐものです。T.33のキャビンはドライバーの集中力を高め、短い距離の旅でも気を散らさずに楽しむことができ、さらに長時間の移動にも対応できる実用性を備えているのです」

カスタマーエクスペリエンス

T.33は、連邦政府のホモロゲーションをはじめ、世界各国のホモロゲーションに対応したグローバルカーだ。右ハンドルまたは左ハンドル、マニュアルまたはIGSパドルシフトのトランスミッションがら選択でき、サリー州ウィンドルシャムにあるゴードン・マレー・オートモーティブの新本社で、わずか100台がハンドビルドされる。



仕様のプロセスには、オーナーに合わせて調整されるGMA独自の人間工学に基づいたシーティングバックも含まれる。GMAのデザインチームとのコラボレーションにより、人間工学に基づいたインテリア仕様やボディカラーをオーダーメイドで設定することが可能だ。さらに、SVSスポーツパックをはじめとする多彩なオプションにより、パーソナライゼーションの可能性はさらに広がる。GMAのスペシャルビークル(SV)部門により、オーナーの想像力に基づいた唯一無二のスーパーカーを創り上げることもできるのだ。



顧客へのサービスは、パーソナライゼーションやデリバリープロセスだけにとどまらない。GMAのスーパーカーオーナーシップは、ゴードン・マレー・オートモーティブ・ファミリーへの招待状だといえるだろう。GMAのアフターセールス・チームは、オーナーが車を運転する場所を問わず、世界中でサポートできるよう体制を整えている。

ゴードン・マレー教授は、「私は、この素晴らしい車を提供するために、当社の基本的な理念を常に念頭に置いてくれた当社のチームを非常に誇りに思っています」と締めくくっている。

オクタン日本版編集部

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