ジャガーEタイプ シリーズ3をレストモッド!その走りは?

Octane UK

“E-TYPE UK”社は、レストアで知られている会社だが、現在はより専門的な分野にも進出している。「アンリーシュド」というサブブランドのもとで、シリーズ3のEタイプを“restomod”しているのだ(レストモッド:レストアとモディファイドの造語)。ケント州ハドロウに本拠を置くE-TYPE UK社に到着した『Octane』を、アンリーシュドの真価を体験できる1台目の車が待ち構えていた。

シリーズ3をアップデートする


この記事をお読みになる頃には、この車は数カ月かけて最終的な仕様を決めた後、カリフォルニアのオーナーの元へと運ばれているはずだ。印象的なのは、当時、あまり評価されなかったS3のボディワークが刷新され、デザインがとてもすっきりとしていることだ。ノーズとテールからは不格好なオーバーライダーが取り払われ、フロントグリル内の格子が省かれて簡素になり、その中央にエンブレムが備えられ、ヘッドランプは現代的なLEDにアップデートされる。また、テールのバッジはオリジナルのクロームメッキからボディカラーと同色に変更されていた。

アンリーシュドにはハードトップが備えられるが、試乗した車にはオリジナルスタイルのソフトトップが搭載されていた。ホーイルハウスいっぱいに収まったトリーノ社特製のワイヤーホイールを留めるスピナーには、さりげなく“Unleashed”のブランド名が刻まれ、合金製の給油キャップを備えていた。

見えない部分では、サイドシルの強化のほか、ボンネット内にエアダクトが追加され、ルーバーも拡張されている。これらはすべてエンジンに施されたパワーアップを考えれば、とても大切なことだ。

6.1リッター、燃料噴射、5MT


SOHC V12ユニットは排気量が5.3リッターから6.1リッターに拡大され、オリジナルのゼニス・ストロンバーグ・キャブレターから、ジェンベイ・ダイナミクス社製のスロットルボディを組み込んだダウンドラフト型燃料噴射装置に置き換えられ、出力は約400bhpに達している。

この増強されたパワーを受け止めるために、変速機はトレメック製の5段MTセットを特製のギアケーシングに組み込んでいる。アルミニウム製のラジエターとヘッダータンクによって冷却系を強化したうえで、高出力のオルタネーター、強化したステアリング・ラック、12ブランチ・ステンレス製エグゾーストなどが装備されている。

足回りでは、スプリングとダンパーを強化型に置き換え、4ポット式のAP製レーシングキャリパーと、溝付きのベンチレイテッド・ブレーキディスクを装着している。

インテリアはピアノブラック色でまとめられ、レザーにはステッチが入り、オリジナルのクラシカルなダッシュパネル上に、LEDイルミネーションと現代的なスイッチ類が並ぶ光景は印象的だ。スタートボタン(キーではない!)、電動ウィンドウ、セントラルロック、Bluetoothサウンドシステムなど現代的な車に取り付けられているものも多い。また、E-type UKが特別に開発したシートヒーターに加え、ドアハンドルとアームレストのあたりには、パワーウィンドウのためのモーターが収納されている。

エンジンとサスペンションを大幅にアップグレードアップされ、見慣れたインテリアにも随所が改良が施されている。

“チリ”の狭さと正確さ、鏡のように美しい塗装など、ボディの仕上げだけで4カ月を要するため、Eタイプ・アンリーシュドには、約30万ポンドの値がつけられている。

エンジンスタート・ボタンを押すと、6.1リッターに排気量が拡大されたV12が息を吹き返し、オリジナルの穏やかなサウンドよりもはるかに迫力のあるサウンドを奏でている。クラッチはしっかりしていて、ギアシフトは正確で適切な重みを持っている。

アクセルペダルをさらに踏み込むと、圧倒的なトルクの高まりを感じられる。また、このV12は、回転数を上げるほどに強く、V12の輝かしい咆哮が耳に届く。全開で走るとスリル満点である。

コーナリングについても、ジャガー独自の洗練されたサスペンション・レイアウトのおかげで、グリップは満足すべき充分なものであり、安定していて、とても楽しい。足回りの剛性が高まったことで、シリーズ3にあった浮遊感が払拭されていた。それはコントロール性に優れ、不快感はないものの、オリジナルのEタイプの乗り心地とは異なる硬めの感触であった。ステアリングは、S3ではオーバーアシスト気味であったが、アンリーシュドには適度な重みがあり、信頼できる満足度の高いものになっていた。

アンリーシュドの目的は、カスタムメイドのEタイプV12を仕立てることであり、注文者が自分好みにできる箇所が多くある。また、そのどれもが、この車のような楽しい走りができるのであれば、一般的なレストアよりも価値のあるものになるだろう。


編集翻訳:伊東和彦 (Mobi-curators Labo.)  原文翻訳:オクタン日本版編集部 Words:Glen Waddington

Words:Glen Waddington

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