これは「ランチア037のニューエディション」|37台限定の「キメラEVO37」

Kimera Automobili

伝説的ともいえる名車、ランチア037が北イタリアのクーネオでレストモッドマシンとして復活した。このプロジェクトを推進しているのは、ルカ・ベッティが率いるキメラ・アウトモビリだ。



キメラのEVO37は、ランチア037の開発に深く関わった人々の協力を得て、最新の技術を用いて一段上のレベルに引き上げられた「ランチア037のニューエディション」と考えていただきたい。レプリカでも“コンティニュエーション”でもなく、“エボリューション”だからこそ、“EVO”と名付けられたのだ。また、"37”という数字は、伝説のランチアを思い起こさせるだけでなく、キメラ・アウトモビリ社が予定しているこの車の生産台数も表している。人によっては随分と野心的に思うかもしれないが、48万ユーロ(約6400万円)という価格でも、すでに11台が先行販売されている。EVO37は7月に開催されるフェスティバルオブスピードで正式に発表され、9月に最初の車が納車される予定だ。



ルカ・ベッティは、過去に多くのラリーを走り、その他にもモータースポーツに深く携わってきた人物である。また後輪駆動のグループBラリーの生きる伝説であり、ランチア037には4輪駆動の相手をすべて打ち負かして世界タイトルを獲得したマシンとして神聖な敬意を抱いているという。ベッティは、この車の開発のために、オリジナルの開発チームから有名な人物を集めた。セルジオ・リモーネ(シャシーとセットアップ)、クラウディオ・ロンバルディ(エンジン)、ヴィットリオ・ロベルティとフランコ・イノチェンティ(生産工程と材料)といった人物である。

キメラはEVO37のベース車両として、当時の037のベースにもなったベータ・モンテカルロを使用している。オリジナルのマシンは、シャシー中央にモノコックがあり、フロントとリアにサスペンションと駆動系の構造が分かれていた。しかしキメラでは、同じセントラル・ケージを採用しているが、ランチア・デルタS4に似たより強固で剛性の高いチューブラー・シャシーに組み込まれている。そしてサスペンションとステアリングは、S4とデルタ・インテグラーレのものが使用されている。



EVO37には、カーボン、ケブラー、チタン、そしてもちろんスチールやアルミニウムといった最先端の素材がふんだんに使用されている。キメラの車重はまだ発表されていが、想像を絶する性能を持っていることは間違いないだろう。最高出力は500ps、最大トルクは580Nmで、そのうち400Nmは2000rpmで発揮される。もちろん、6段マニュアルギアボックスを介して、後輪にのみ供給されるようになっている。



このエンジンは、ブロックこそ037と共通のものを使用してるが、それ以外のすべての部分は、マルティーニ・レーシングチームが開発してきたすべてのエンジンの生みの親であるクラウディオ・ロンバルディの指揮のもと、イタルテクニカによって再設計・構築されている。もちろん、パワートレインは伝説に忠実で、ターボとルーツ型スーパーチャージャー(電磁クラッチ付き)の両方を備えた2150ccの4気筒である。



037のポリエステルボディをカーボンファイバーでそっくりそのままコピーするといったことはされなかったが、キメラデルタS4やデルタ・インテグラーレの要素が取り入れられ、特にホイール周りにそれが顕著に表れている。またノーズには、ギリシャ神話に登場するライオンの頭と翼を持ち、火を噴く怪物であるキメラのロゴが描かれている。



キメラ・アウトモビリのCEOであるルカ・ベッティは、1978年にクーネオで生まれ、彼の両親は、1970年代から1980年代にかけてモータースポーツに深く関わっており、それがルカの大きな情熱の原体験にもなっている。彼15年間にわたりがモータースポーツの世界で活躍し、数々の成功を収めてきた。そんな元ランチアのワークスドライバーであり、世界選手権ラリーで17回の優勝経験を持つベッティがテストドライバーを務めるEV037の走行性については何も心配する必要はない。また、EVO37のシャシーセットアップとチューニングを担当するのは、他でもないミキ・ビアシオンなのだ。



ラリーストであれば一度は攻めてみたいマシンであることは間違いない。

Kimera Automobili
www.kimera-automobili.com

まとめ:オクタン日本版編集部 Words:Ton Roks Images: Kimera Automobili

まとめ:オクタン日本版編集部 Words: Ton Roks Images: Kimera Automobili

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