「究極のパフォーマンスポルシェ」911カレラ2.7 RSの魅力

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正真正銘の象徴的な車にまつわる熱狂(喧伝)には、時折至極脅威的なものがある。911カレラ2.7 RSについては、そのとてつもなく高い評価を実際に満たすかどうかは別として、いつも意見の分かれる問題だ。だが、この車はかの時代を特徴付ける傑作である。レース用として認可されるための本格的な911として造られた2.7 RSは、その発売時における究極のパフォーマンスポルシェだった。

大型化されたリアのホイールアーチ内には7インチ幅のフックス製アルミホイールが収まり、高速安定性のために合理的なダックテール型リアウィングも追加された。特別なエンジンも必要不可欠で、旧型の2.4リッター型が2.7リッターに大型化され、ボッシュ製メカニカルフュエルインジェクションも追加された。与えられた「カレラ」という名称は、ポルシェ社がその名声を築くことに寄与した、特別なレーシングカーを思い起こさせる。



今では理解し難いが、ポルシェ社は最低生産数のホモローゲーション(認定)車500台をすべて売りさばけないのではないかと本気で心配していた。結果としては、ディーラー側は合計1580台まで増加することになった。“Touring”、” Lightweight”の2種のバージョンが用意され、特に後者によりコンペティションカーにも容易に改造できたのであった。そして、中古価格が低下した際は、ウィークエンドレーサー(週末に走り込むことを楽しむ車好き)のための車となった。

今回紹介するブラッドオレンジカラーの2.7 RS “Touring”は、複数のイタリア人エンスーオーナーに続けて使われながらも、なんと今でもオリジナル仕様を維持している。1973年5月に工場から北イタリアのポルシェディーラーへ、非常に理想的なレカロ製スポーツシートとリミテッドスリップデフがオプション装備されて納車された。

新車期間には、短期間で複数のオーナーに行き渡った頃もあった。しかし、1980〜1990年代には、コレクターやエンスードライバー達の元に渡り、有り難いことにその全員がオリジナルの状態を維持した。2014年に現在のオーナーが1226番のシャシーを購入した際、彼はイタリアで最高のポルシェスペシャリストであるAutofficina ACR社へフルレストアを依頼している。ポルシェ社ヘリテージ部門は同年に、オリジナリティと高価値のスペックについて証明書を発行した。



Autofficina社のチームがこのRSを分解し始めた時、本体の鉄板が維持するために、以前の塗装層が注意深く落とされた。さらに、過去の事故によるダメージが一切ないことも判明した。エンジンとギアボックスの製造番号も一致し、顕著なオリジナル状態であることが分かった。部品の供給が潤沢なため、こういったレストア後の個体は魅力的に映るが、Autofficina社は可能な部分はすべて剥ぎ取って造り直した。オリジナルのコンポーネント(部品、部分)がリペア不能な箇所のみ、ポルシェ純正パーツと交換した。完成の段階になると、レストア費用の合計金額は12万7,000ユーロを超えていた。これはばかげた金額に聞こえるかもしれないが、これを鑑みると59万5,000ユーロという応談価格は驚く程良心的に見えてくる。すぐに新たなオーナーが見つかったようだ。

RSがその名声にそぐうかどうかは別として、(どちらにせよ誰も悲しまないだろうが..)、現在市場にある他の車でこのスペックに敵うものはそう多くは無い。最近のレストア以外に、「履歴」というものが無いのだから。神聖化されている”Lightweight”バージョンではないものの、より快適な” Touring”の方がより多くの時間を簡単に楽しいものにできるだろう。

文:octane UK  訳:オクタン日本版編集部

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