「車に決して逆らってはいけません」ランボルギーニ・ディアブロを操る

Photography:Max Serra

この記事は『「どれほど『素晴らしい悪魔』になり得るかを思い知らされた」ランボルギーニ・ディアブロ』の続きです。

ディアブロは、その次の(そしていまのところ最後の)オーナーシップ移行でも生き延びた。1998年、アウディ・グループはランボルギーニを傘下に収めたのだが、このとき誕生からすでに8年が経過していたディアブロの価値を認め、生産の継続を決める。
 
その際、アウディのルク・ドンカーヴォルケがチーフデザイナーに就任してフェイスリフトを実施した。なお、ガンディーニのようなフリーランスではなく、正式な従業員がデザインを統括したのはランボルギーニとして初めてのことだった。つまり、新たな人材や潤沢な資金を背景にしてディアブロは生まれ変わったといえる。そのスムーズな仕上がりのディテール、生まれ変わったフロントマスク(リトラクタブル式からコンベンショナルなヘッドライトに変更)、そして豪華なインテリアにくわえ、可変バルブリフトを備えたエンジンの最高出力は529bhpに引き上げられるとともに、ブレーキにはABSが装備された。最後のディアブロがラインオフしたのは2001年のことだった。それまでにおよそ3000台が生産されたが、これは当時、1モデルのランボルギーニとしてはもっとも多い数だった。


 
2020年夏、ロックダウンが明けたばかりの北イタリア。私たちはサンタガータ・ボロネーゼでディアブロの最終バージョンを借り受けた。46台だけが生産された6.0SEのうち、42番目に生産されたシャシーナンバー"ZA9DE01A01LA12898"である。これはランボルギーニが所有する車両で、一度も登録されたことがなく、走行距離はおよそ数千kmという極上物である。
 
もう1台のディアブロは、カーアフィショナドの創業者で南ドイツ在住のフローリアン・シードルの所有だ。こちらは1991年製で"ZA9DE07A0MLA12327"のシャシーナンバーが与えられている。シードルが2014年に購入したとき、そのオドメーターはおよそ1万7000kmを指していたが、その後、これとほぼ同じ距離を彼の手で走破したという。

「アウトバーンで気持ちよく走れる車速は240km/hくらいです。渋滞さえなければ、このスピードでどこまでも走り続けられます。それも、普通の車を160km/hで走らせているような感覚でね」とはとシードル。ただし、気をつけなければいけないこともあるという。

編集翻訳:大谷達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Massimo Delbò Photography:Max Serra

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