歴史に残る瞬間を蘇らせる│カーレースをテーマにした貴重なネガをレストア

MAD Gallery



『勝利への道 – アルフォンソ・デ・ポルターゴ-1956年 ツール・ド・フランス(原題:On the Road to Victory - Alfonso de Portago - Tour de France 1956)』においてルネ・パリは、流し撮りテクニックを使用してスピード感を醸し出す躍動感を表現している。このパワフルな構図では、フェラーリ250 GT no. 73(シャシー0557GT)が出す馬力がしっかりと捉えられ、その官能的なラインにピントが合わせられ、ぶれたコースとのコントラストが完璧に表現されている。 


On the Road to Victory - Alfonso de Portago - Tour de France(1956)

象徴的なショットを捕らえるため、ルネ・パリはローライフレックスの2眼レフを使用し、プレスカーから体を乗り出して撮影した。まさに、この状況ならではの不可能を可能にした技術的なチャレンジであったのだ。1956年のツール・ド・フランスで優勝を収めたスペインのアルフォンソ・ デ・ポルターゴ侯爵とアメリカ人エドモンド・ネルソンのペアは伝説的ドライバー。彼らの存在がこの写真のさらなるプレステージ感を演出する。この二人は1957年のミッレ・ミリアのレース中、事故の巻き添えとなり悲劇的な死を迎えている。 

「写真家のパイオニアの手によって、カーレースのパイオニアが永遠に不滅となります。これらの写真は間違いなく、技術の専門家と真のアーティストの眼識を証明しています」とベルクは説明する。

巨匠ルネ・パリは、グラフレックス・スピード・グラフィックのビューカメラを使用して、感動的な写真『アキーレ・ヴァルツィ-1947年 スパ(原題:Achille Varzi - Spa 1947)』を誕生させた。


Achille Varzi - Spa (1947)

これは複雑な機構を採用したカメラで、各露出に新しい4×5インチのシートフィルムホルダーを装填する必要があり、完璧に操作するには複数のステップを要する。この写真は第10回ベルギーグランプリ(第8回ヨーロッパグランプリ)において、熱狂的な観衆に取り囲まれたイタリア人レーサー、アキーレ・ヴァルツィを撮影したもので、彼の勝利への決意が感じ取れる。アキーレ・ヴァルツィは、アルフェッタという愛称で呼ばれたアルファロメオ 158で出場。54回の参戦数のうち47回も優勝の座を獲得したという、カーレース史上極めて重要な車だ。

オクタン日本版編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事