ランボルギーニ・イオタに影響された一人の想いからはじまった大きな波

Shinichi EKKO



それからの赤間氏の行動はすばやかった。さっそく、ストーリーを作りあげ、ジェイのキャラクター作りをはじめる。知人である自動車イラストレーター溝呂木氏に頼むことにした。子供たちに車が人間の手で作られるものだということを感じることができるよう、アルミの叩き出しで存在しない、イオタのオブジェを作ってみたらどうだろうか・・。

夢が夢を呼び、その想いに共感した仲間がどんどんと集まってくることになる。原寸大のイオタモデルを作ることになったきっかけも、物語の中に入れてしまおう。そして、イタリアの子供たちにも楽しんでもらうために日本語・イタリア語のバイリンガル版が制作された。その世界観を表現し、より強く感じでもらうため、歌も作ることになる。どうせつくるならイタリア語版も作ろう。絵本はなんと5巻組の大作になった。そしてプロジェクトは世界を駆けていく。

ランボルギーニの本拠地であるサンタアガタ・ボロネーゼのランボルギーニ愛好家たちにも、この赤間氏の想いは刺さった。2019年はイオタ生誕50周年だから、世界の重要なランボルギーニイオタ・クローンを集めアヒルのジェイ絵本プロジェクトを世界に発信しよう! 



赤間氏が戸惑うほどの大きな反響が集まった。4月27日、サンタアガタ市庁舎の前にはジェイの絵本と原寸大イオタオブジェのフロントフードが並んだ。英国のマニア プルフォード氏の製作した世界で一番“ホンモノ”に近いというイオタ・クローンをはじめとするミウラが集結し、100名を超えるゲスト達の前で、アヒルのジェィに託された赤間氏の想いは世界に向けて解き放たれたのだった。

現代の子どもたちにスーパーカーの素晴らしさ、ものづくりの大切さを伝えることを目的として、2016年8月に自動車愛好家たちの協力を得て設立。所有するスーパーカーをイベント等で展示し、その魅力を伝えるといったボランティア活動をこれまで行っている。赤羽の養護施設星美ホームにてサローネ建設費の支援イベントを開催し、施設の子どもたちに絵本の読み聞かせ、塗り絵・ゲーム大会、そしてスーパーカー乗車体験などを実施。



さて、このランボルギーニの聖地たるサンタガタで発表された” アヒルのジェイ・プロジェクト”は世界各国から大きな反響をよんだ。それは単にランボルギーニ・エンスージアストへ向けてのみならず、次世代へクルマの生の魅力を伝えたいという想いを持った人々とも繋がった。親子でクルマを愛すというテーマの絵本作者(オーストリア)からは一緒に活動をしようというオファーが赤間氏の元へ届いたし、北米の著名ミュージアムでの展示に協力しようという申し出もあった。

そんな中で、この秋には日本のモノづくりという観点を絡めながら、完成したイオタのフルボディをフェルッチョ・ランボルギーニ・ミュージアム(ボローニャにあり、ランボルギーニ創始家の運営)にて公式展示するというプランが決定した。それだけではない。イタリア最大の自動車博物館であるトリノ自動車博物館で今年末にアヒルのジェイ・プロジェクト公式展示まで決まってしまった。ますますスケールが大きくなってきたようだ。

文:越湖信一 Words: Shinichi EKKO

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