興味深いレースヒストリーを持つゴルディーニ│ファンジオも操った1台

Bonhams

コンペティションカーが2度目のチャンスで成功を収めることはめずらしくない。アップグレードや開発による進化、大々的なリビルドなどによって、しばしば興味深いレースヒストリーが展開する。写真の魅力的なゴルディーニも同様で、語るべき物語は多い。
 
このタイプ15Sバルケッタは、1952年に現在の2座の姿となったが、シャシーは1948年から使われていた。シングルシーターのタイプ11として、まずポーでのレースでジャン・ピエール・ウィミーユのスペアカーを務める。モナコ・グランプリでは首位を追走した末に、エンジントラブルが元で57周目にリタイア。かの偉大なるファンジオも、ランスで開催された同年のフランス・グランプリでステアリングを握ったが、やはり完走はならなかった。
 
シングルシーターとして3年間レースで使われ、その後期にはゴルディーニの息子アルドもドライブした。1951年5月のレースでリタイアしたあと、ファクトリーでシャシーの状態にまで戻され、2座のスパイダーとしてリビルドされた。
 
生まれ変わった車はエキップ・ゴルディーニからル・マンに出走。ロジャー・ロワイエとシャルル・リネンがドライブしたが、クラッチの不具合から18時間でリタイアした。しかし、2週間後のランスではロワイエがクラス優勝、総合4位をもぎ取った。
 
1952年に左ハンドルから右ハンドルに変わり、1953年4月にはニューヨークのモータースポーツショーで売りに出された。その後フランスに送り返され、最後のル・マンに出走するが、やはりリタイアに終わった。
 
ルーベー・グランプリ(フランス)では激しい戦いの末に2位フィニッシュ。これを観戦していた二人のアイルランド人に買い取られ、ダンドロッドでのツーリングトロフィーに出走すると、クラス優勝に輝いた。その後はダブリンのアマチュアドライバーが購入してクラブレースに使用した。
 
やがて、イギリスのコレクター、トニー・ゴズネルが購入し、1978 年にゴルディーニのエンスージアストであるジャン・ルイ・アモニオの手に渡る。25 年後にレストアされ、何度かイベントやコンクールに参加したのちに、今回ボナムスのオークションに出品された。推定落札価格は70万〜100万ユーロだった。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

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