『Octane』UK版編集長がトヨタ「GT86」と「GR86」を乗り比べ!ファミリーカーとしての適性は?

ASTON PARROTT

車好きのファミリーガイにとって、トヨタGT86(日本名:86)こそが理想的なオールラウンド・カーではないかという想いを10年以上前から抱いてきた。もっと正確に言うと「車好きのファミリーガイ」とはこの私のことだ。

サーキット走行をしたり、火曜の夕方に体操教室に通う子供たちを乗せたりするのに適したスポーツクーペである、という条件はもちろん、それに加えて重要なのは、あらゆるファミリーライフに“最小限の妥協”で対応できるドライバーズカーであることだ。単なる家族のショッピング用の車ではなく、パパやママが運転中に居眠りしてしまわないような車だ。

実は私がそんなことを考え始めたとき、我が家の子供たちは6歳と4歳だった。そして、いつものように“迅速な”私がこの仮説を検証することになった頃には子供たちは16歳と14歳になっていた。スタイルの良い前期型が9000ポンド以下になり、それを確かめるチャンスが到来したといえばご理解いただけるだろうか。

最高出力200bhp弱、6段マニュアルのギアボックス、0-60mphの加速は7.9秒のこの2リッターのボクサーエンジンは、低回転域では残念ながらトルクレスだが、高回転域での弾丸のような加速が大いに気に入っている。グッドウッドまでこの車でドライブしたときは嬉しかった。イベントが開催されていないときでも、グッドウッドまでのルートはお気に入りのひとつだ。路面の濡れたA286号線でのブレーキ、LSD、トラクションコントロールは見事。GT86のバランスに勝るものはなく、素晴らしかった。





あまり喜ばしくない出来事としては、土曜の夜にロンドンで開かれたパーティに次女とその友人たちを迎えに行ったときのこと。10代前半の若者でさえ、後部座席で快適に過ごすのはかなり厳しそうだった。4人も乗っていると、さすがにGT86が小さな車に思えてきた。

その後しばらくしてGT86よりカッコよく、完売にもなった後継車GR86に乗る機会が訪れた。私は家族旅行をしようとせず、父親(つまり私のことだ)の遊び用の車として、主にA3道路のエッシャー出口のラウンドアバウトを1時間も周回したりしてみた。そこでは、車について驚くほど多くのことを学ぶことができた。何より、先代よりも400ccと35bhpもパワーアップしている。そしてGR86は半分の回転数で威力を発揮する。しかも、ドライビングの状況に応じてGT86よりもエキサイティングかつダイレクトになることもあれば、より賢く洗練された走りを見せてくれることもあり、とても不思議な魅力をもっている。



Photo: Toyota UK

GR86に乗る機会がなかったら、GT86を好きなままでいたかもしれない。でも、GR86の良さを一度知ってしまうと、GT86には決して満足することはできない。しかし、実際のところ、たとえ『小人の冒険』のような小さな体をもつ家族だったとしても、現代において家族の1台だけの車としてGT86やGR86を使い続けるのは難しいだろう。

もちろん86は一人で出かけるときには私の希望と期待に応えてくれる車だ。だが、私の古いエラン+2と同様に、日常的に家族で使う移動手段としては厳しい。

でも、子供たちはもう就職する年齢になったことだし……と自問自答を続ける毎日だ。


文:James Elliott

James Elliott

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