オリジナルを凌駕した!? ミニ・クーパーSを徹底的にレストアした「75th アニバーサリーエディション」

この車はミニ・クーパーS発売60周年とクーパー・カー・カンパニー創立75周年を記念して計画された20台のレストアモデルのプロトタイプである。クーパー・カー・カンパニーの創設者ジョン・クーパーの息子であるマイク・クーパーのアイデアにより完成し、ボーリュー・ミニクーパー・レジスター・ナショナル・ミニ・デイでクラス優勝を果たした。クーパー氏は、エセックスに拠点を置くブライトウェル・モーター・カンパニーの社員であるミニのエキスパート、スコット・ターナー氏に声をかけ、この計画はスタート。1台目のカスタマーカーは完成したばかりで、現在は7台のドナー車と、6台の注文を抱えている。



クーパー・カー・カンパニー75の価格は10万ポンド＋税金と決して安くはないが、それさえ用意すれば、オリジナルをはるかに超えるスペックの車が作られ、多くの魅力的なアップグレードが施されたレストア車を購入することができる（なお、ドナー車を用意すればもっと安くなる）。20台すべてが1967年以前のミニ・クーパーSをベースとし、徹底的に防錆処理され、コノート・クーパー・グリーンにオールド・イングリッシュ・ホワイトのルーフとボンネット・ストライプで仕上げられる。製作期間は6カ月から9カ月だ。

いくつかのオプションが用意されているが、エセックスを拠点とするミニ・エンジンのスペシャリスト、パワー・ディベロップメンツ・リミテッドが製作した1380ccにボアアップが施された1275GTが標準で搭載されている。２基のSU HS4キャブレターにより100bhp近いパワーを発生し、そのパワーは4ポットキャリパー付きグルーブドフロントディスクブレーキで制御される。ツイン燃料タンクには、CCCブランドの合金製フィラーキャップが装着され、合金ホイールは、ジョン・クーパーがF1およびF2に初めて採用したバラの花びらのデザインを踏襲している。



インテリアを見てみると、レストア作業中に追加されたアップグレードがいくつか見受けられる。ステアリングホイールの後ろにあるスペースが広げられ、追加の計器類が取り付けられた。その中にはエンジンの回転数を示すタコメーターもある。このタコメーターのレッドラインは6500rpmだ。

ステアリングカラムも調整され、より快適な運転姿勢を保つことができるようになった。

シートは、赤い生地にゴールドの柄が中央に施された特別なバケットシートで、ユニークでスタイリッシュな外観だ。このゴールドの柄は、ドライバーの正面にあるダッシュボードの部分にも使用されている。



車内のペダルは、CCCのロゴが施されたアルミ合金でできており、特別なブランドであることがアピールされている。さらに、CCCのロゴが施された特別なギアノブも用意されており、ギアシフトに個性的なタッチが加わっている。

シートに腰を下ろし、驚くほど広々とした車内を見渡すと、ガタつきもなくカチッとドアが閉まることに気づく。同様に、塗装は見事に滑らかな光沢を放ち、チリもきっちりと合っており、パネルのフィッティングも完璧だ。ドア外側のヒンジは補強プレートの上に取り付けられており、ドアパネルの歪みやその後の摩耗によるヒンジの垂れ下がりを防いでいる。仕事が細かく思わず感心してしまう。

キーを回すと、瞬時に火を噴き、怒ったように吠える。スロットルレスポンスは、もはや足首の痙攣を先取りしているのかというくらいだ。

ミニにはワインディングロードがよく似合う。その小さな体格は、狭い路地を最大限に活用できることを意味し、カーブの連続は、アレック・イシゴニスがエンジンに組み込んだ最高の敏捷性を爽快に思い出させる。まるで車を曲線に沿って物理的にハンドルを切るのではなく、車そのものが曲線を通り抜けるような感覚がある。不用意にブレーキを踏むと、さらにその良すぎるくらいのクイックなレスポンスを思い知らされる。

75はエボリューションのラバーコーンサスペンションにアジャスタブルダンパーを装着しており、キャンバーとキャスターの調整も可能だ。確かにうねった路面では多少の跳ね返りに耐えなければならないかもしれないが、全体的に見ると、この車はイギリスのBロードには完全に適合している。

つまりまとめると、この車の乗り心地は「絶対的」なのだ。さらに詳しいことが気になる方はcoopercarcompany75.comでぜひチェックしていただきたい。


文：Glen Waddington