内燃式エンジンを持つスーパーカーは、まだまだ死なない!「プラーガ・ボエマ」登場

Praga

新型車の登場は「灯滅せんとして光を増す」なのか?それとも“ペトロヘッド”にとっての夜明けなのか?



休眠していた自動車メーカーを復活させ、電動ハイパーカーを発売するというのがここ数年のお約束パターンになっている。だが、最近発表されたプラーガは違った。1947年から2016年まで市販車こそ製造していなかったがトラックやバス、軍用車などの製造は続けていた。そして新型ボエマは、ガソリンを燃焼するV6エンジンを積んでいる。

エンジンは日産GT-Rの3.8リッターツインターボを流用し、リッチフィールド・エンジニアリングがチューニングを手掛け最高出力700bhp/6800rpmを誇る。そんなエンジンをミドシップし、トランスミッションにはレースマシン譲りのヒューランド製6速シーケンシャルギアボックスが奢られる。車両重量は1トンを切るので、一般道でもGT3マシンのような走りが期待できる。0→60mph加速は2.3秒以下、最高速度は185mphを超えることが予想される。

1907年、プラーガはチェコの首都で設立され、当初はイソッタ・フラスキーニのライセンス生産を行っていた。なお、「プラーガ」はラテン語でプラハを意味する。1929年に大手エンジニアリング会社CKDと合併し二輪車にも進出したが、第二次世界大戦末期に国有化。その後、バス、路面電車、トラック、航空機、軍用車両の生産で栄えたが1947年に自動車部門は終了した。

2011年、プラーガは競技用レーシングカーの製造を開始し、ブリットカーシリーズ(耐久レース)に投入した「R1」、2016年には公道走行可能な「R1R」を投入して“市販車”メーカーとして復活した。2リッターのルノー製4気筒ターボエンジンを搭載しカーボンファイバー製のR1Rは、車両重量はわずか670kgに抑えられていた。68年ぶりの市販車メーカーを記念して、68台が製造された。

新型ボエマもカーボンファイバー製モノコックのボディを持つが、車両重量は982kgになっている。今回は「チェコスロバキア1000マイル」でプラーガの勝利から89年が経過したことを記念して、89台の限定生産となっている。 



元F1ドライバーのロマン・グロージャンがインスパイアされ、テストドライバーを務めたボエマは110万ポンドで、特注のラゲッジが付く。

レーシングカー作りで名を馳せてきたプラーガだが、グロージャンがサーキットと公道も走れる車を作ることをけしかけ、実現した。

「段差を感じさせないスムーズな走りで、助手席に座る人と“普通に”会話ができます。“普通に”走っているときは、“普通の車”です。でも、同じ車なのにひとたびスイッチが入ると、サーキットマシンになります。限界まで攻め込めば、この車の奥ゆかしいポテンシャルを垣間見ることができるでしょう。最終仕様に仕上げるまで、まだ数カ月あるのでファインチューンを手掛ける時間があります」とグロージャン。ボエマはチェコのクレスタ・レーシングが行い、2023年後半に生産を開始する予定だ。

プラーガ・ボエマのインテリア。


プラーガによる新型車公開と同時期に、デ・トマゾも新たな内燃式エンジンを搭載したスーパーカーを発表した。2004年から2019年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで「V12 P72」が公開されるまで、デ・トマゾも自動車生産を止めていた。V12 P72の生産は2023年に予定されており、改造されたフォードのV8ターボエンジンを搭載していた。



デ・トマゾが次に投入したのは、18台限定のサーキットマシン「P900」だ。カプリコーンが設計した新しい6.2リッターV12エンジンのレッドゾーンは1万2300rpmで、Xtracシーケンシャルボックスを介して車重900kgのマシンに900bhpを与えることが約束されている。プラーガが110万ポンドであるのに対し、こちらは250万ポンドという価格が提示されている。

デ・トマゾの最新作品は1万2300rpmまで回る「まったく新しい」V12エンジンが特徴となっている。

内燃機関の終焉という報道は、いささか早計なのかもしれない。


編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) Transcreation: Takashi KOGA (carkingdom)

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国)

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