ワイン作りでシニアと共に地域活性を!Bioワイン作りを目指したブドウ栽培



大野町の農業従事者は高齢化が進み、跡取りがいなければ柿生産を続けられない。ただ生産を止めてしまうと畑が荒れて燐畑に病気を移す可能性があるが、費用が掛かるため柿の木を切ることもできない。個人農家にも、止めるに止められない事情があるのだ。

「コロナ禍で家に閉じこもりがちなシニアの方にとっても、ここの仕事ならば、日々のアクティビティとしてもとても良い。広々とした空気のきれいな場所なので感染症対策も万全にできます」(林理事長)。


 
ここではピノ・ノワールとシャルドネという2品種のブドウを育てており、作られるワインの名前はROSE ORI。もちろん農薬や化学肥料に頼らないBioワインである。「この2種のブドウから作るのはロゼワインです。南フランス・プロバンス地方のように、暑い太陽の下で、キンキンに冷えたロゼを楽しみたかったから。そして、せっかくならばシニアの方々が楽しく働き、さらに若い人たちも従事したくなるような"お洒落でかっこいい農業"をやりたいと考えています。ランドローバーの新型ディフェンダーを新たな作業車として取り入れた理由もそのひとつです」(林理事長)。
 
大里研究所には、すでに20年来世界エイズ研究予防財団の活動で地元小中学校の教育現場で活躍するディフェンダー90と2台のディフェンダー110があるが、今回新型ディフェンダーの導入で4台が揃うことになった。新型は先代モデルの堅牢さをベースに、新機能や安全性、環境性を加えており、正にこのプロジェクトにぴったりの車である。林氏は続ける。



「今ではブドウ栽培可能な土地が約3000坪に増えました。イギリス車とバラとワインとを組み合わせて、ガーデニングを楽しめる"生活の場"をここに作れればと考えています。5年以内にクラブハウスも作りたい。ここに来て農作業をした後、シャワーを浴びてさっぱりし、カフェテラスで仲間との会話を楽しんで帰ってもらいたいから。完成すれば、やがて今まで農業に携わったことのない人も集まってきてくれ、「私にもやらせて」と輪が広がっていく。生き甲斐をつくる、楽しんでもらう。それが狙いなんです。もしワインが販売できるようになったら、その売上は全額あしなが基金などの奨学金として子供たちの教育に役立ててもらいたい」「ブドウ作りだけでなく、いろいろなアイデアがあります。バラをたくさん植えて、柿畑がにぎやかな公園のようになれば良い。綺麗なバラのある柿やブドウ畑が遊歩道のようになったら素敵だと思いませんか。地元の食材を使ったカフェやレストランがあってもいい。そうすれば、若い人も集まり、この地で柿畑を継いで農業をしたいという人が増え、地域の活性化につながるのではないでしょうか」
 
昨年収穫できたピノ・ノワールは、まだワインの本数にして50本分と決して多くはない。ただこのブドウ作りは、地元住民の助けとスタッフの努力の結晶である。導入される新型ランドローバーが、その一助になっていくことは間違いない。

文:堀江史朗 写真:サジヒデノブ Words:Shiro HORIE Photography:Hidenobu SAJI Special Thanks:Jaguar Land Rover Japan、Jaguar Land Rover Gifu

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