注目のスーパーフォーミュラ初の女性ドライバー、タチアナ選手に今年の抱負をインタビュー

Sho TAMURA

いまどき、「女性だから」と性差を声高に叫ぶのは却ってナンセンスかもしれない。でもやはり、男性が多く活躍している業界があるのも事実だ。自動車業界、特にモータースポーツにおけるレーシングドライバーという職業においては、ほとんどはまだ男性の独壇場というイメージがあるに違いない。

しかし、FIAがWomen In Motorsport Commissionという組織を2009年に設立したように、モータースポーツの世界でも、より多くの女性が活躍できる場を開こうという活動がおこなわれている。Women In Motorsport Commissionでは、ドライバーに限らずエンジニアやメカニックといった職種においても、すべての女性が等しく、より多くの女性がモータースポーツに参加することができるよう啓蒙し、行動し、情報を発信し続けている。

この組織でアンバサダーを務めるレーシングドライバーのひとりが、タチアナ・カルデロン選手。アルファロメオ・レーシングのF1チームでテストドライバーを務め、昨年まではF2に参戦していた彼女が、今シーズンの活動の場として選んだのがスーパーフォーミュラだ。



全日本スーパーフォーミュラ選手権初の女性ドライバーということで、シーズン開幕前から多くの注目が集まる中、2020年シーズンのスーパーフォーミュラ合同テストが3月24日と25日に富士スピードウェイで開催された。この日、初めて富士スピードウェイでの走行を行ったカルデロン選手に、公式テスト1日目が終了したタイミングで話を聞くことができた。



全体の印象としては「マシンはびっくりするほど速かった。ダウンフォースもとても大きくて、新しい気付きがたくさんあったわ。初走行を心から楽しむことができたし、タイムも少しずつ良くなってきた。まだ学ぶことがたくさんあると思うし、もう少し慣れてきたらもっと速くなれると思う」と語っていたように、最初のうちこそ苦戦する様子も見受けられたが、テスト周回数を多くこなしていくうちにタイムを縮めることができたようだ。

シーズンを通して参戦するということは、富士スピードウェイ以外のサーキットも知る必要がある。それについては「オンボード映像ではすべてのサーキットを見ているけれど、富士スピードウェイを走ったのは今日が初めてだし、どのサーキットも違っていて、とても挑み甲斐があると思う」

そんなチャレンジ精神旺盛な彼女に、今シーズンの抱負を聞いてみた。
「他のドライバーはSUPER GTやスーパーフォーミュラで何度も走っているから有利だと思うけれど、そのギャップを縮めてトップ10以内に入れるようにしたい」

「女性だから」と強調することもなく、今シーズンの目標を頼もしく言い切ってくれたカルデロン選手。それは男女の差など関係なく、あくまでフラットに、持って生まれた才能と努力の成果を出す場として彼女が選択したのがモータースポーツという舞台であるという、ただそれだけのシンプルなことなのだと感じられた。リラックスしてテストに挑むチャーミングな27歳のヒロイン、タチアナ・カルデロン選手にこれからも注目していきたい。

文:オクタン日本版編集部 写真:田村翔 Words: Octane Japan Photography: Sho TAMURA

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